「大変異」これが新型ウイルス出現のメカニズム!感染免疫学の専門家・岡田晴恵教授が提言‼︎【新型コロナウイルス感染症と戦う⑤】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「大変異」これが新型ウイルス出現のメカニズム!感染免疫学の専門家・岡田晴恵教授が提言‼︎【新型コロナウイルス感染症と戦う⑤】

新型ウイルスはどんな風に出現するのか?

◼数十年起きに出現する新型インフルエンザ

新型インフルエンザと鳥インフルエンザ

 表は、過去の新型インフルエンザの出現と鳥インフルエンザの流行の関係を示したものである。スペインかぜのあとはアジアかぜというように、数十年おきに新型が出現しているのが分かるだろう。現在われわれは、この新型インフルエンザ大流行の谷間にいるのである。

 しかし実は、この谷間の状態も、感染した鳥のすみやかな処分といった鳥インフルエンザ対策によって、かろうじて保たれているのである。

 先に述べた、1997年香港におけるH5N1型鳥インフルエンザの流行の際には、香港政府は3日間で鶏、家禽200万羽を処分し、鳥の間での伝播を食い止めた。経済的打撃も大きかったことはいうまでもない。しかし人への伝播を防ぎ、新型インフルエンザの出現を阻止するためには、やむなしと決断したのである。このような水際での努力によって、どうにか新型出現を未然に防いでいるのが現状である。

 しかし、2003年に始まった東南アジアを中心としたH5N1型鳥インフルエンザの流行は初期の封じ込めができず、2004、2005年と続き、根絶には至っていない。アジア諸国での小規模農家が、庭先で飼育する鶏やアヒルをすべて殺処分することは難しい。また、ウイルスを大量に含む糞を養魚用の飼料として養魚地や水田に撒布するために、これらの水場がウイルスに汚染され、多くの水鳥、渡り鳥にも更に感染を広げることとなる。

 現在までに、中国南部に由来する鳥インフルエンザは渡り鳥によって中国奥地やチベットからモンゴル、さらにロシアのカスピ海、ウラル山脈まで到着し、さらにトルコ、ルーマニアにも広がっている。今冬(刊行年の2013年の冬)、ヨーロッパ、アフリカへまで拡大することが危惧されている。 国内でも警鐘が鳴らされ、WHO(世界保健機構)も対策に乗り出しているが、新型インフルエンザ出現の危機が迫っていると判断されている。
「新型コロナウイルス感染症と闘う⑥」へつづく)

KEYWORDS:

オススメ記事

RELATED BOOKS -関連書籍-