【圧倒的藝術力!】行って見て感じる!「いま」こそ歴史の彼方にある芸術を蘇らせ、味わいつくす‼️–東京藝大美術館「みろく」展
■世界最高峰の藝大の技術「スーパークローン文化財」
足掛け2年にもわたるコロナ禍。いまだ予断を許さない状況ではあるものの、ワクチン接種による感染者の減少、そして緊急事態宣言解除にあたり、少しずつ私たちの移動の自由は回復され、外出の歓びに胸踊る日々かもしれない。
そこで、「今週末はどこへ行こうか」と思いながら、まだ予定が立っていない方々に、ぜひオススメしたい展覧会がある。それは、上野公園にある、東京藝術大学大学美術館で今月10日まで開催されている「みろく——終わりの彼方 弥勒の世界」である。
「みろく(弥勒)」とは釈迦入滅(お釈迦様が亡くなった)後、56億7000万年の時を経て、衆生を救済する未来仏である弥勒菩薩(マイトレーヤ)のこと。この弥勒を「救世主」とした弥勒信仰は、東アジアから日本にも広がり、親しまれた。この弥勒が、長い時を経ながら東アジアにどう広がっていったのか、
①ガンダーラ、②アフガニスタン、③西域・中国、そして④日本へ。
弥勒文化の伝承までのその長い歴史的「変化」を、いま、私たちが会場内を「歩き」ながら体感できる展覧会となっている。
■世界最高峰の藝大の技術「スーパークローン文化財」
そしてなによりも、今回の展覧会での注目は、東京藝術大学が誇るスーパークローン文化財の技術。最新のテクノロジーでオリジナル(当時)の図像の色彩や質感を解析、再現すると同時に、世界最高の芸術力の粋を集めた東京藝大COI拠点Arts & Science LABのスタッフの「手仕事」によって時空を超えてオリジナルに迫る作品に仕上げた技術は、息を飲むほどに美しい。この技術をもって原寸大復元したバーミヤンE仏龕天井壁画《青の弥勒》、敦煌莫高窟第275窟交脚彌勒菩薩像を中心に、バーミヤン東大仏仏龕天井壁画《天翔ける太陽神》、法隆寺金堂9号壁「弥勒浄土図」を一堂に会し、藝大美術館所蔵作品も交え、弥勒の姿を見ていく。
■ここがすごい!そこに注目!! 制作者に聞いた
この展覧会の構成に基づく展示を現場で制作された日本画チームの林宏樹さんは、「文化の底流と図像の変遷が例えば、日本のブースにいても、ガンダーラの気配を感じることができるように、うまく空間で演出できたらいいなと思い制作しました。クローン文化財のデジタルとアナログの融合としての技術はそれぞれの得意、不得意点があるのです。例えば、デジタルは拡大縮小、コピーなど上手にできるのですが、色を合わせるのはアナログの方が合わせやすいのです。しかし、デジタルで限りなく適正な色に近づけておかないと作業工程が上がってしまうのです。そこが難しい点かもしれません」。
同チームの林樹里さんは「制作で言えば、私たちは印刷、彩色のジャンルを担当するので、今回は色を合わせる、《青の弥勒》のラスピラズリ(瑠璃、青)だったり、オレンジ色を合わせることなどに苦労しました」。
色味は、ほんの繊細な感性で決まるため、デジタルで極限までオリジナルに近づけ、最後のニュアンスを手仕事で完成させる——ここに藝大のプロ魂の込められた仕事が宿っていた。
みろく-終わりの彼方 弥勒の世界- 会 場 東京藝術大学大学美術館3F 会 期 2021年9月11日(土)~10月10日(日) 休館日 月曜日、9月21日(火)※ただし9月20日(月・祝)は開館 開館時間 10時~17時(入館は閉館の30分前まで) チケット情報 一般 1,000円 大学生 700円 ※当日窓口販売のみ ※前売券の販売はありません ※高校生以下及び18歳未満、障がい者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料 ※本展は事前予約制ではありませんが、今後の状況により、変更及び入場制限等を実施する可能性があります。