世界的大ブームの『イカゲーム』。政治や経済の失敗を自分の失敗だと思い込む洗脳された庶民の救いがたい健気さよ!【藤森かよこ】
真実暴き時代に疲弊する人々を癒す大量殺人映画やドラマもいろいろ
■政治体制や経済政策の失敗を自分の失敗と錯覚させる仕組みを見抜けない『イカゲーム』の人々
なぜ、彼らや彼女たちは、政治体制や経済政策の失敗が自分たちに課した苦難を自分たちが解決すべきものと勘違いして、救いようがないほどの健気さを発揮するのか。
それは、この世界や社会の仕組みについて無知だからだ。その仕組みは、自然発生的にできあがったものではなく、彼らではない誰かにとって都合よく捏造されたものでしかないと思い至らないからだ。
彼らや彼女たちの心の根底を呪縛する「まっとうでありたいという欲望」も、「自分の責任を果たそうとする倫理性」も、彼らや彼女たちではない他人によって刷り込まれたものだ。一種の洗脳だ。そんなもののために、なぜ自分の生命を賭けるのか。
一見すると、『イカゲーム』は人間の生き抜こうとする欲望や、だからこその生存競争の残酷さの寓話に見える。製作者の意図はそうなのかもしれない。
しかし、私にとっては、『イカゲーム』とは、政治体制や経済政策の失敗によって引き起こされた不遇を自分の責任と思いこみ、命まで投げ出してその不遇を解消する、責任を果たそうとする人間の善性の悲劇を描いているように思える。
その意味で、『イカゲーム』は、逆説的な道徳物語だ。同時に、自分たちの善性や倫理性の起源を深く問うことができない人々の悲劇でもある。登場人物たちは、自分で自分たちをゲーム囚人島に閉じ込めている。
カネは非常に大事だ。しかし、たかがカネではないか。倫理は非常に大事だ。しかし、たかが倫理ではないか。自分の命を賭けるほどのものではない。借金を贈与と言い張って返済しない類の人間の真似でもして、厚かましく堂々と生き抜けばいいのだ。たとえば誰を真似しろとまでは書かないが。
文:藤森かよこ
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