「桜を見る会」ならぬ「サクラが見る会」【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「桜を見る会」ならぬ「サクラが見る会」【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第5回

■公選法違反という風物詩

 

 茨城6区から衆院選に立候補し、当選した自民党の国光文乃。選挙戦では岸田文雄が応援演説に入ったが、声援を送っていた聴衆は、日当で雇われたサクラが多かったそうな。

 「週刊FLASH 」は、自民党の支持団体である茨城県運輸政策研究会が、石岡や土浦など、県内の各支部に送った文書を入手。そこには、「また、参加者に対しまして、日当5000/人をお支払いさせていただきますので、別添の名簿にてご報告を頂きたく、よろしくお願いします」とある。

 記事にある大学教授の説明によると、投票を期待して日当を支払った場合は「投票買収」、街頭演説会を盛り上げるために日当を払って観客を動員し、拍手や声援をおこなわせた場合は「運動買収」となり、いずれも公選法違反の可能性があるとのこと。「桜を見る会」ならぬ「サクラが見る会」と言っていた人もいたが、うまいことを言うね。

    *

 なお、安倍晋三主催の「桜を見る会」には、安倍に近い統一教会の関係者、悪徳マルチ商法の「ジャパンライフ」会長、反社会的勢力のメンバー、半グレ組織のトップらが呼ばれていたが、いろいろ終わっている。

    *

 公選法違反と言えば、他党を圧倒するのが維新の会。今回も兵庫4区から出馬し比例復活した赤木正幸の運動員森宏成が公職選挙法違反(買収約束)容疑で逮捕された。森の孫の森弐奈も同容疑で逮捕。2人は共謀し、知人ら6人に対し赤木の選挙運動を手伝う報酬を約束したとされる。安定の維新クオリティ。

    *

 日本政策金融公庫の融資を巡り、貸金業の登録を受けていない事業者が行った仲介に公明党議員の公設秘書らが関与したとされる疑惑で、東京地検特捜部は公明党議員だった遠山清彦を任意で事情聴取した。遠山は事務所の関与や現金の受領を否定したという。特捜部は8月、遠山の元秘書2人と前衆院議員の太田昌孝の元秘書1人が、事件に関与した疑いがあるとみて、太田の事務所と、遠山の元秘書2人が秘書を務めていた衆院議員吉田宣弘の事務所を家宅捜索していた。

 なお、遠山は、緊急事態宣言下に銀座の高級クラブで深夜まで知人と滞在していた問題で今年2月に議員辞職していた。仏罰は下るのか?

    *

次のページ甘利明と枝野幸男の責任の取り方

KEYWORDS:

※カバー画像をクリックするとAmazonサイトへジャンプします

オススメ記事

適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

100冊の自己啓発書より「徒然草」を読め! (祥伝社新書)
100冊の自己啓発書より「徒然草」を読め! (祥伝社新書)
  • 適菜 収
  • 2021.10.30
国賊論
国賊論
  • 適菜 収
  • 2020.04.21
思想の免疫力: 賢者はいかにして危機を乗り越えたか
思想の免疫力: 賢者はいかにして危機を乗り越えたか
  • 中野剛志
  • 2021.08.12