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これが令和の全貌だ!【佐藤健志】

佐藤健志の「令和の真相」35

 

◆第三部 崩壊する経済と社会

 

 コンセンサス・リアリティの解体とは、社会統合の基盤が崩れ落ちることですから、影響はあらゆる分野に及ぶ。

 ここで取り上げた事柄も、根底ではすべてつながっています。

 

(1)戦後史最後の政治的選択

(2)消費増税と「日本の自殺」

(3)義務教育の「義務」とは何か

(4)児童虐待の運命的構造

(5)嘘と夢のはざまで

 

 各評論をつなぐものは何か?

 ずばり、これです。

 

「国家の否定」を出発点とする戦後日本では、人々は後になればなるほど、主観的には豊かさや幸福を願いつつ、実際には貧困と不幸にいたる路線を選んでしまう。

 

 幸せになろうとすればするほど不幸になるのですから、社会が狂ってゆくのも当たり前。

「戦後史最後の政治的選択」「消費増税と『日本の自殺』」では、「自民一強」と呼ばれる近年の政治状況と、デフレ不況のもとで消費税率の引き上げが繰り返される経済の現実をもとに、「幸せを求めて不幸を選び取る」メカニズムを考察します。

 

「義務教育の『義務』とは何か」「児童虐待の運命的構造」は、「国家の否定」が教育や家庭に与える影響の分析。

「幸せを求めて不幸を選び取る」メカニズムは、ここでもありありと浮かび上がります。

『平和主義は貧困への道』とは、2018年に私が刊行した本のタイトルですが、なんと平和主義は子殺しへの道でもあるのです!

 

 最後に「令和はすべてが許される」というプロローグの内容に立ち戻るのが、「嘘と夢のはざまで」

 経世済民を達成するためには、人々をまとめあげるような〈物語〉が必要ではないかという点をめぐる考察です。

 良い物語が「夢」で、悪い物語が「嘘」となるものの、叶わなかった夢は、往々にして嘘より悪いものになってしまう。

 

 以上の論考を踏まえて、本は後半へと入ります。

 そちらは次回、ご紹介しましょう。

 

文:佐藤健志

 

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佐藤 健志

さとう けんじ

評論家・作家

 1966年、東京生まれ。東京大学教養学部卒業。

 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。

 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。

 主著に『感染の令和』(KKベストセラーズ)、『平和主義は貧困への道』(同)、『右の売国、左の亡国 2020sファイナルカット』(経営科学出版)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)など。共著に『新自由主義と脱成長をもうやめる』(東洋経済新報社)、『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』(VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』(PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。

 2019年いらい、経営科学出版でオンライン講座を制作・配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻、『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻、『佐藤健志の2025ニッポン終焉 新自由主義と主権喪失からの脱却』全3巻を経て、最新シリーズ『経世済民の作劇術』に至る。2021年〜2022年には、オンライン読書会『READ INTO GOLD〜黄金の知的体験』も同社により開催された。

 

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