「もっと変化球を覚えたほうがいいんじゃない?」
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記<6>
共有する思い。それがあるから楽しかったんだ。<全4ページ>
メモに残されていた言葉、独立リーグの思い
11月6日。3日目
この日は完全に休養日。
朝起きたら、身体に少し張りを感じる。
若い時は感じられなかった張りだ!
ベンチでの声出しで試合を客観的に観るのもまた勉強!
この日の夜に、現役選手と食事に出掛ける。
そこで、色んな話をした。
こんな事も言ってた。
「杉浦さんが参加すると聞いて、正直嫌でした!なぜならこっちは、真剣に野球をやってるのに遊び感覚で参加しに来るんだと思い、それなら来て欲しくないと。でも杉浦さんのトライアウトに、そして野球に対する姿勢を見て、本気なんだと確信し安心しました!」
そう思われても仕方ない!
これは、僕がトライアウト中につけていたノートにあるメモだ。
受けると決めてから、その日あったことや、感じたことを書きとめようと思い、いまも続けている。これは結構役に立っていて、自分の頭のなかが整理される。
メモにあるように、香川に来て3日目には、多くの選手と打ち解けて話せるようになってきていた。僕が芸人であり、社交的な性格であることも幸いしたのだろう。
「正直嫌でした」
と言った選手の気持ちは、いまならよく分かる。テレビや新聞といったメディアがたくさんきて、記念受験のような雰囲気になるんじゃないか。覚悟もなく、芸人として受けにこられてはたまったものじゃない……そう思えば、真剣に夢を追いかけながらやっている選手、なにより受験生たちにとっていい気はしないだろう。
ただ、残念なことに僕はそれほど売れている芸人ではないから、メディアは来ない(笑)し、「話題づくりで受けたんじゃないか」とも言った人もいたけど、そんな気持ちもなかった。