Scene.16 立ち止まってなんかいられない!
高円寺文庫センター物語⑯
泥棒に入られた!
シャッターは空いているし、ドアまで空いている。店の中に入ってみれば、乱暴狼藉の
大混乱状態! なんじゃこりゃっと、松田優作のセリフがついて出た。
出勤してくるバイトくんたちに、在庫の点検を指示して被害状況の把握に努めなきゃ!
本店の社長に報告。杉並警察書に連絡。朝、レジに入れるタネ銭の隠し場所を確認・・・・無事だった。泥棒は、現金を探し出せなかったんだ!
「店長、本や雑誌には盗られた感じがなかよ」
「Tシャツが、かなり盗られているわ!」
「CDとビデオも、やられています」
「高額書も含めて、本に手を出してないって不思議だよな」
「殿、どうしたの?」
「あ、ニューバーグのママさん。泥棒に入られちゃった!」
「あら、そんな気配にはマスターも気がつかなかったみたいだし・・・・
明け方にでも忍び込んだんじゃない」
「大正堂書店さんとか、近所の書店さんには連絡をしておいた方がいいな」
そんなこんなの後日のこと、店の前に灰色のワゴン車が止まった。
「栃木県警です!
窃盗団を連行しての実況見分です。車の中の連中が、こちらの店から盗んだと言っています。盗難は、間違いありませんか?」
犯人逮捕のドヤ顔で、誇らしげに言うけどさ。盗んだ商品は戻ってくるの?!
「あいつら中国からの窃盗団なので、難しいと思います。
では、失礼」
って、おいおい! あの刑事の、栃木弁のイントネーションが忘れられない。
「店長。CDやビデオは、中国の闇市場でさばかれたんでしょうね」
「根本敬さんの、ディープ・コリアTシャツ! が、中国の街中で・・・・あ、ゲバラTシャツって中国でどうなんでしょうね?!」
「だよなぁ・・・・
サブカルなTシャツを着た連中が、天安門広場を歩いていたら笑うしかないよ」
アタマの中には、Janis Joplinの「Cry Baby」が流れる。
Scene.16 立ち止まってなんかいられない!
「今日は皆さん、ご参集くださいましてありがとうございます!
お蔭さまで、文庫センターはボクら的10周年を迎えることができました。こんなアホな本屋にお付き合い下さって&ご支援に感謝感謝で、ありがとうございます」