Scene.18 どかどかうるさいロックンロール本屋!
高円寺文庫センター物語⑱
夏だ!高円寺は阿波踊りだ!
ところがさ、飲食店は書き入れ時だけど本屋は厄日。しかも、収益も落ちてきた時に三日間の阿波踊りはきつい・・・・。
店の前の道路が、阿波踊りを終えてきた「連」の休憩と待機のポイントになっていたから大変!
ここに移転しての当初は、阿波踊りの認識が甘かった。漏れちゃうって切迫感100%の踊り子さんに、事務所のトイレを貸したら! 事務所、レジ・スペースから書籍コーナーを貫いて外まで阿波踊り衣装の人々で長蛇の列・・・・。
大行列に感応式の自動ドアは開きっぱなしだから、来ては出て行くお囃子とひと休みする踊り手さん達の喧騒が店内にモロ!
申し訳ないがと、トイレの提供は断っても店の前での喧騒は変わらない。イメージで言えば、ドアが閉まっている時はバッハの『G線上のアリア』が流れている感じ・・・・ドアが開いたらもぉ~レッド・ツェッペリン『移民の歌』だって! ハードロックだぜ、うるさいのなんの・・・・。
そんな喧騒を屁とも思わず、文庫を物色しているお客さんは本読みの鉄人だ。ハグしたくなる!
「店長! 来ちゃいましたよ、こんな夜に」
「例によって、国書刊行会さんお得意の長期出張が終わったのね」
「はい、店長に恒例の出張愚痴こぼしに来ました。
それよりも、あのお客さんカップルは文庫センターさんならではですね?!」
「そっち! じゃ、声は抑えめでね。
お尻まで見えているショーパンの女性が、気になるんでしょ! お隣のスキンヘッドは旦那さんでさ、ご夫婦でAV俳優なのよね」
「スッピンですよねぇ・・・・AV女優さんは服を着ていると、わからないなぁ」
「だから、デカい声で言うなってば!」
アタマの中には、LED ZEPPELINの「移民の歌」が流れる。
Scene.18 どかどかうるさいロックンロール本屋!
「店長。日販さんの営業さんが、いらっしゃいましたよ」
「お世話になってます! ご商売、いかがですか」
「どうもって言うか、よく言うよな。月間成績表を持ってきたんでしょ、半年経過をみると今年は初のダウンになりそうだよね・・・・」
「まだ、半年ありますから。挽回策はお考えですよね?!」
「もちろん!
1.利益率の高いグッズで、収益率を上げるでしょ。
2.イベントを頻繁に行うことで、集客力と売り上げ増をはかる。
3.とにかくマスコミ露出。テレビや雑誌に取材して貰うことで、商圏の拡大を狙いたいもん。
4.パソコン導入により、ホームページの開設から商圏の全国展開を目指す。以上。ちゃんと考えているでしょう」
「さすがは文庫センターさんですね!
確かに25坪クラスの坪単価は良くて900円代、そこを1150円は立派です。集客力増の、イベントとマスコミ露出の展望はいかがなんですか?」