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橋下徹が大石あきこ代議士を名誉毀損で訴えたのはスラップ訴訟ではないのか? 第一回口頭弁論がスタート

「(自分の)不利益を強調しながら相手に“仮想の利益”を感じさせる」。これが橋下徹の『心理戦で絶対負けない交渉術』(p.7)のポイントのひとつだという。

■橋下徹は「一介の市民」といえるか?

 

 裁判終了後、大石代議士側はYouTubeで生配信をしながら記者会見を開いた。会見で弘中弁護士が橋下氏側は自らを一介の市民であるかのように主張したことを含め、裁判の概要を説明した。橋下氏曰く「自分は単なる弁護士でテレビのコメンテーターであり、政界から身を引いた」と主張。今回訴訟の原因となった日刊ゲンダイの記事で大石代議士側が語った(橋下氏の)マスコミへの威嚇、DV(ドメスティックバイオレンス)、つるし上げの部分についてもメディアに対する吉村府政への及び腰について批判をした流れで取り上げただけで、問題は橋下府政の時代から起きたと言っただけのこと。それを名誉毀損で訴えるのは許せないと徹底抗戦の意思を示し、重要な裁判だと断言した。

 その上で弘中弁護士は「訴状がブラックユーモア過ぎる。報道の自由は保障されるべきものだから、それを妨げたというなら最大の名誉棄損というのが彼の主張。橋下さんの挑発に乗って、いかに報道に対して問題ある態度を取ったかということを主張、立証していきたい」と語った。

 その後は記者との質疑応答に入った。今回質問したのは当サイト「BEST TIMES」と共同通信、毎日放送、関西テレビ、フリー記者、大阪日日新聞である。

 当サイトからは、橋下氏は過去にもフリージャーナリストの岩上安身さんにスラップ訴訟を起こした件について質問した。橋下氏は公判中にも岩上氏を挑発し、相手の怒りを誘って裁判に勝ったのである。それは自らの仮装の不利益を強調して、相手を脅し、丸め込む、という橋下の手口を知っているのかということを質問をした。今回も同じ手口を使ってくると予想されるからであるため知りたかった。

 すると、大石代議士側は橋下氏の手口を知らなかったと回答。その上で「自分も挑発するタイプ」と語り、橋下氏と挑発合戦になることを想定し、向こうが悪質ならば対処するとのこと。弘中弁護士は「(法廷外の)場外戦の対応は難しいけど、しかるべき対応が必要になったときは、(大石代議士と)一緒になって考えたい」と答えてくれた。

 筆者がこの質問をしたのは橋下氏は自らの仮装の不利益を強調して、相手を脅し、丸め込む、というやり方が常套手段だからだ。2005年に発売された『心理戦で絶対負けない交渉術』(日本文芸社)にも記載されている。橋下氏が裁判を有利に進めるためにやってくるだろうと考えたので慎重に対応してほしいものだ。

 他のマスメディアの質問も色々な内容が出てくる。毎日放送からはこんなやり取りが飛び出した。

「橋下氏の社会的評価が低下したという意見については、どう考えるのか?」という質問が出た。

 弘中弁護士は「名誉毀損は事実でもウソでも自分の評判が下がれば名誉毀損にあたる。それに対して内容が真実かどうかであるか、公共の利害に関係あれば名誉毀損は成立するので珍しくはない」と回答した。

 「今後の裁判で橋下氏がマスコミを操作しようとした事実についてあるのか」と問われると「作戦上言えません」とした上で、具体的な事実を提示すると自信を見せた。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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