「今の人たちは食に対して贅沢になりすぎている」 土光敏夫が教える清貧の思想
【連載】「あの名言の裏側」 第2回 土光敏夫編(2/4)“メザシの土光さん”の真相
首相の鈴木善幸氏、行政管理庁(現在の総務省)長官の中曽根康弘氏から会長就任を懇願された土光氏は、受任の条件として次の4項目からなる申し入れ事項を提出しました。
一、行政改革の断行は、総理の決意あるのみである。臨時行政調査会長を引き受けた以上、審議を十分に尽くして満足のいく答申をとりまとめるよう、最大限の努力をはらうが、総理がこの答申を必ず実行するとの決意を明らかにして戴きたい。とくに、総理は、各省庁に対してはもとより、自民党内に於ても強力なリーダーシップを発揮して戴きたい。
二、行政改革に対する国民の期待は、きわめて大きいものがある。アメリカのレーガン政権を見習うまでもなく、この際徹底的な行政の合理化を図って「小さな政府」を目ざし、増税によることなく財政再建を実現することが、臨時行政調査会の重大な使命の一つであ
る。総理としてこの点を明らかにして戴きたい。
る。総理としてこの点を明らかにして戴きたい。
三、行政改革は、単に中央政府だけを対象とするのではなく、各地方自治体の問題も含め、日本全体の行政の合理化、簡素化を抜本的に進めていくことが必要であると思う。この点についても、総理のお考えを明らかにして戴きたい。
四、またこの際、3K(国鉄・健康保険・米)の赤字解消、特殊法人の整理、民営への移管を極力図り、官業の民業圧迫を排除するなど民間の活力を最大限に活かす方策を実現することが肝要である。この点についても、総理のお考えを明らかにして戴きたい。
土光臨調は1983年(昭和56年)の解散までに5次に渡る答申を提出。それは後に、日本専売公社(現JT)、日本電信電話公社(現NTT)、日本国有鉄道(現JR)の三公社の民営化といった数々の成果へと結実していきます。さらに土光氏は、土光臨調が答申で示した数々の行財政改革を実現させるための監視機関として1983年に発足した臨時行政改革推進審議会(第1次行革審)の会長にも就任し、1986年の解散まで職務を全うしました。