Scene.24 伝説の続きを探すのさ!
高円寺文庫センター物語㉔
今日は、本屋にはありがたい休配日。取次店からの、本や雑誌の納品がおやすみの日なのだ。
「だからって内山くん、遅刻するな。今日は大掃除するんだよ」
「すんましぇん、昨日のライブが盛り上がって呑み過ぎたばい。ってか、たまにはライブに来て下さいよ」
「内山さん、誤魔化してないでたこ焼き買ってきて」
「りえちゃん、きつかね・・・・。
買いに行くけんが、昨日さぁ考えよったのはビッグネームのイベントのことばい」
「ってか~、清志郎さんがまた来てくれないかなぁ」
「そうねぇ、清志郎さんのつぎを考えると?!」
「矢沢の永ちゃんよ!」
「だよな! 考えるけんが、トイレにこもるぜ」
トイレで一服は、彼らに乗せられて店長ョンをクールダウンするために不可欠なのだ。
「だめ! 永ちゃんはない、ボクら殺されるって。内山くん、清志郎さんの時を忘れたと?
ボクらは店にいて知らなかったけど、外に居たカンちゃんやキタやんはブチギレそうな修羅場もあったって内山くんが報告したじゃなかと」
「整理券を持ってない連中が入れろ入れろって、野次馬はマジでヤバかったばい!」
「清志郎さんのファンだからまだまとも、オレ矢沢ファンっすって連中が押しかけるぞ」
「シャコタンの、うるせぇバイク! ヤバか、ヤバか、ヤバか!」
「だろ! やめよ、やめよ、やめよ! いいな?!」
「よかぁ」「うん」「はい」
「よし今後、矢沢永吉の名前は封印な・・・」
「ち~す! なに、レジに横並びで騒いでいるっすか」
「あ! 石川ちゃん、矢沢永吉のイベントをするかって話だったんすよ」
「あはは、お店。潰されますよ。やっちゃダメっす」
アタマの中には、THE BYRDSの「イージー・ライダーのバラード」が流れる。
Scene.24 伝説の続きを探すのさ!
「素敵ねぇ、このデザイン。文庫センターの、イメージアップに最高!」
「よかね、自慢できるばい!」
「わぁ~これ、一生の宝物になります!」
バイトくん達、感激感動の大絶賛!
これなら、お客さんたちにもウケること間違いない・・・・リリー・フランキーさんデザインの、文庫センターオリジナル・ブックカバーが出来てきた。
これまでは、既製品のブックカバーを使っていた文庫センター。やっぱり、イケてないよなっと思っていたところで閃いた!
リリーさんの著作に登場するキャラクターが可愛いからと、サイン会&トークショーの流れでデザインをお願いしてみたらOK!
って、あっさり・・・・やっぱ、いい人だ!
ここは内山くんの出番と、リリーさんの事務所へもらいに行ったら「あ、来ちゃったの」って感じでリリーさん。デスクにあったCDを取ると、円を描いてその中にササっとイラストを描きあげたそうな。
「このキャラは、なんに使ってもよか! って、リリーさんが言うとったばい」
「イェイ♪ ならもぉ、使い倒しちゃるけん。なにがよかと」
「飲み屋みたいな、置き看板はどぎゃんと?」
「ハンコは? ハンコ! 文庫センターのシンボルみたいな感じで、なんにでも押しちゃうの」
「お向かいのオービスさんで、Tシャツを作っちゃいましょうよ!」
なわけで全部、作っちまうことにしたぜ! イェイ♪
後日、お礼の電話をかけたら出たのが・・・・テレビで聴いたことのある声の、女子だった!
リリーさぁん! ブックカバーは、めっちゃウケましたよ!
そして、リリーさんTシャツはここって時のキメTになった。