グルーバルダイニング判決の本質は「狙い撃ち時短命令」と「政治の曖昧な政策」!?【松野大介】
《曖昧な政策》
だが「違法」な命令を下した小池都知事の過失は認められなかった。弁護士は「都知事本人の尋問もせず、注意義務違反について判断をされたのは非常に不服」とコメント。
当の小池都知事は「今回の命令は感染防止対策上、必要かつ適正なものであったと認識している」とコメント。
私が都知事や都の担当職員だったら、「狙い撃ちする会社を間違えた‥‥」「火消しに走って世間には忘れてほしい」と思います。
そもそも日本は感染対策の政策が曖昧だったこと、対応が遅すぎることが、今回の問題の本質と見る。
大ざっぱに言って申し訳ないが、欧米の国によっては「この金でしばらく外に出るな」と国民にまずお金を振込み、自粛させた。
日本はまず自粛させてから、給付金を配る段取りを決めて、役所に人が押し寄せるという先進国と思えない慌てぶりだった。
飲食店にしても、時短や酒類提供禁止は『要請』という基準だから守らなくてもいいはずなのに、日本的な「みんなに従う」という空気に逆らえず、要請を守る。しかも協力金は遅れるし、都の人間が見回りに来るが開けている店はあるし、混んでいる。実に曖昧だ。
自粛すればグローバルダイニングのように大きい規模の会社だと維持費で億単位のお金が瞬く間になくなるし、小さい店は協力金が遅れたら店仕舞いや首をくくる店主まで出る。
飲食店だけでなく、客商売の中小の小売業も同じレベルで曖昧な扱いの業種があっただろう。
原因の本質は、命令や強制と、お金などの保証を同時にできないシステムと、日本の政治が曖昧な政策で責任をとりたくないという姿勢にあると、私は考える。(日本の政治はコロナに限らず、どんな政策でもいざとなったら逃げられる無責任体質がある)
今回も、小池都知事が飲食店を感染経路に名指ししたら、政府も分科会も科学的データとは関係なく同調し、全国のほとんどの知事も同じ対策を口にした。酒がウイルス感染と無関係なのは常識でわかるのに、そこも同調。批判されたら「僕が決めた対策ではありません」と逃げられるのだ。
今回の判決は、コロナ対策不備の責任の所在を明確にするいい機会だと思う。
《最後に~今後》
今回の裁判で特筆すべきは、判決まで異例の速さだったことだ(といっても1年はかかる)。
日数と手間とお金がかかる裁判だが、今回のような判決は、今後の自粛が科学に基づくものになり、日本の政治の曖昧さが変わっていくきっかけになればと思う。
そして、この裁判で問われる人物は小池都知事だ。小池都知事のコロナ政策に関してはいずれ書きたいと思います。
文:松野大介
- 1
- 2