第13回「決戦」(4月3日放送)で、前半のクライマックスを迎える「真田丸」。真田軍は圧倒的に不利な状況の中で、徳川軍に逆転勝利を収める。その采配を振るう真田昌幸役の草刈正雄は、30年前のNHKドラマ「真田太平記」で真田幸村(信繁)を演じていた。
真田昌幸は、主演の堺雅人扮する真田信繁(幸村)の父。知略軍略に優れ、油断ならない武将を草刈がユーモアたっぷりに熱演。独特の存在感を放っている。
真田昌幸という人物には、どんな魅力があると思いますか。
「豪快でありながら、喜怒哀楽が激しい。ときには息子に泣きついてみたりと、人間味のあるところでしょうね。洗練されてない、田舎のイケイケ親父。そういうところが僕の中にもあって、気に入っています。こんな魅力的な役をやれるのは、役者冥利につきますね」
演じる上で、気をつけていることはありますか。
「昌幸は昨日、言っていたことを、今日は違うという、一本“線”が通ってない人物。日本のドラマではあまり描かれない役じゃないかな。とにかく何考えているのかわからない人なので、ガチッと自分の中でイメージを決めず、現場で感じるままに演じています。北条(氏政)や上杉(景勝)などに『食えぬヤツじゃ』ってよく言われるんですが、そのセリフもヒントになっています。食えないヤツってどんなヤツだろうって」
草刈は1985~86年のNHKドラマ「真田太平記」で真田幸村を演じている。それから30年が経ち、幸村の父役を演じることになった。「真田太平記」の昌幸役は、昭和の名優、丹波哲郎だった。
昌幸役の依頼を受けて、どんな感想を持ちましたか。
「30年後にお父さんの役をやるなんてね、びっくりしました。何か因縁めいたものを感じました。丹波さんの昌幸は豪快で、とにかく明るくて、存在感があって圧倒していた。その印象が強すぎて最初はなかなか頭から離れなくて、(芝居が)ちょっと大変でしたね」
丹波さんから影響を受けたことはありますか。
「策を考える時にクルミを使うんです。それと考えごとをする時に家臣と囲碁をするのも取り入れています。丹波さんが今でもときどき降りてきて、『ちゃんとやっているか?』って言われているような気がして。スタジオに丹波さんの気配を感じるんです(笑)」
丹波さんの昌幸像のイメージをどうやって払拭しましたか。
「三谷さん独特の脚本に助けられました。昌幸のいろんな面が丁寧に描かれていて、あっこんな芝居をしてもいいんだって。それに本を読んでいると、無理することない、自然体でOKって言葉が行間から伝わってくる。役者人生でトップと言ってもいい役。集大成みたいな感じがします」