子どもの頃の「将来の夢」、実現している人ってどれだけいるの?
「夢」「やりたいこと」の“非”生産性
夢の職業に就いた人、でも辞めた人
まずは、「夢」が実現できた人は、どれくらいいるのか。
世代によっても違うが、「就くことはできたが辞めてしまった」人を含めると、一度でも夢の職業に就いたことのある人は、15%超ということになろう(50代のみ、年の功なのか、20%を超えているが)。この数字を「意外に多い」と思うか、「案外に少ない」と考えるかは、人によって判断が分かれるとは思うけれども、僕は「わりと多いなあ」と思ってしまった。
注目すべきは、一度は夢の職業に就けたのに、でも辞めてしまったという人が、各世代を通じて六%前後いて、50代にいたっては8%以上いるという事実であろう。普通なら「もったいない」という受けとめ方になるだろうか。
だが、「夢」は、所詮は「夢」なのだ。夢の仕事は、実際にはやってみたことがない仕事である。だから、それは、「想像(イマジネーション)」という土台のうえに据えられた「希望」や「願望」にすぎない。実際にやってみたら、想像していたものとは違った(「想像」が「幻想(イリュージョン)」に変わってしまった)、ということも、当然、起きるわけである。
もう一つ、注目すべきこととして、各世代とも、夢の職業には就いていないが、「現在も目指している」という人が、それぞれ存在している。20代はその数字が15%にも届いているし、50代も2%ちょっとと、少ないながらもいる。この結果をどう見ればよいか。
日本の若者も「夢」を諦めずに頑張っていて、捨てたもんじゃないな。――という解釈は、もちろんありうる。ただ、この調査では、回答者に現在の職業を聞いている。そして、非正規雇用の状態にあると想定される層が、全体のうち、男性で40.2%、女性では60.2%いることもわかっている。
とすれば、夢の職業を「現在も目指している」と回答したのは、この非正規雇用の層が圧倒的に多いのではないかと想定される。また、その大部分は20代の若者であろう。夢の職業をめざしているから、今は非正規で働いているというわけだ。