ウクライナ戦争と近衛文麿の洞察【佐藤健志】
佐藤健志の「令和の真相」44
◆関心喪失は貧困への道
ウクライナ戦争の話題など、もう飽きた?
気持ちはよく分かります。
勃発より4ヶ月半あまりが経過した今も、あいかわらず収拾のメドは立ちません。
この展望のなさについて、図らずも示してくれたのが、同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領。
大統領は6月27日、ドイツにおけるG7サミットでオンライン演説を行ったのですが、そこで「年内に戦争を終わらせたい」と述べました。
記事によっては「年内に終わらせなければならない」となっていますが、どちらにせよ、6月末の時点における発言ですから、少なくともあと半年は戦争が続くと認めたにひとしい。
ついでに「終わらせたい」ことと、年内に戦争が終わる見込みがあることは別物。
しかも、年内に終わらせたい理由は何か?
厳冬期に戦争を続けるのは大変だから。
年内にはロシアを撃退できそうだとか、
ロシアとの停戦交渉が合意にいたりそうだとか、
そういう話ではまったくないのです!
これでは仮に戦争が終わったとしても、春が来て暖かくなったら、また始まるんじゃないですかね?
のみならずゼレンスキー、G7の首脳にたいして、年末までに戦争が終わるよう、最大限の努力をしてほしいと訴えました。
当の努力とは、まずもって対ロシア制裁の強化を指すようですが、ウクライナへの軍事援助が含まれるのも確実。
2022年後半、ウクライナにおける戦争や、それをめぐる国際対立が、いっそう激化する恐れは少なくありません。
すでにアメリカでは、戦争終結にいたらないまま、ウクライナがロシアの制圧した地域と、そうでない地域に分断されるのではないかという見方も出ています。
双方が疲れてくれば、休戦ぐらいは成立するだろうが、以後も長期にわたって小競り合いが続く次第。
要は朝鮮半島のようになるものの、ならば今回の戦争を契機とするエネルギーや食糧価格の高騰も、長期にわたって続くと見なければなりません。
これらの価格高騰が、物価全体の上昇をもたらし、わが国でも人々の生活を圧迫しているのはご存じのとおり。
『平和主義は貧困への道』とは、私が2018年に出した本のタイトルですが、ウクライナ戦争について関心をなくすのも、経済の先行きについて目をつぶることにほかならず、やはり貧困への道なのです!
というわけで、現実を直視してゆきましょう。
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