Scene.36 本屋に集うのは素敵なひとびと! |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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Scene.36 本屋に集うのは素敵なひとびと!

高円寺文庫センター物語㊱

2002年も、半年が過ぎようとしていた。雑誌の大幅な売行き低下をイベントで凌ごうとしていたが、掛け声倒れに終わっていていまだに四本。浅草キッドさん、清志郎さん、仲井戸CHABO麗市さんとビッグネームは勝ち取れても、散発的なのが残念な状況は変わらなかった。

そんな時に、やはり太田出版がイベントを持って来てくれた。『クイック・ジャパン』が文庫センターの主力商品とはいえ、太田出版ほどことあるごとに助けてくれた版元はない。   

その太田出版が漫画家の天久聖一さんの新刊予定があるとのことで、サイン会のお話をいただけた。

天久聖一さんの売れ続けている漫画に、『バカドリル』シリーズがある。1994年に出版して以降、7点も続いている文庫センターの定番漫画なのである。

そんな事情を熟知している太田出版は、天久聖一さんの新刊『バングラデシュ日本』でボクらにサイン会を持って来てくれた。営業先の本屋の得意とするところを押さえて、適切な商品やイベントを提案できる。営業職の鑑だね!

版元としても収益が上がる、イベントを通してPRにもなる。著者さんも、直にお客さん=ファンと触れ合うことで刺激にもやる気にもなる。そして、なんと言っても本屋が喜ぶ!

サブカルファンはたいてい寝坊助だろうと、土曜日でも午後4時のサイン会スタートにしておいた。

例によって、関東圏からのお客さんが来てくれているのだろう。いつもより早めにランチを終えて店に戻れば、店内は静かな喧噪下にあった!

「店長。いい感じばい、まだ買っていないファンもいる感じやけんが太田出版の前作『バカサイ』も売れとると」

「店長。ようやくお客さんが終わりますので、お店用の色紙を天久さんに書いていただきましょうか?

あれ、沢田さんが既刊本にサインをお願いしていますよ」

天久聖一サイン会を終えて、いつものレジでの集合写真。天久さんのTシャツが気になるな(笑) それにしても、内山くんは怪しい!本屋のスタッフ(笑)

「すいません、京子さんに頼まれて。

『ブッチュくんを描いてください』って、お願いしたら『それ僕じゃなくてタナカカツキが描いたんです。

じゃ、ブッチュくんの偽者描いておきますね』って、おおらかな返事が返ってきました」

「そっかぁ、さわっちょ。よかったな!

ブルーのTシャツが爽やかだったけどさ。やっぱり漫画のタッチと違ってご本人は、穏やかで優しかったんだね」

「そうなんです!

作品で表現しちゃう方って、エネルギーを出し切っちゃってるので普段は穏やかなんだろうなって思えました」

 

「だれ、だれ、だれ!

店長が話している女のひと!」

「めっちゃ、可愛いかねぇ・・・・

美人なうえにスタイルよかよ!」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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のがわ かずお

1951年 東京生まれ。書泉を経て、高円寺文庫センター店長。その後、出版社のアートン・ゴマブックス・亜紀書房顧問。本屋B&B、西日本出版社などにかかわる。 温泉とプラモデルと映画を、こよなく愛する妖怪マニア。共著『現代子育て考5.男の子育て』(現代書館)、『独断批評』(第三書館)。


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