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「いま、注目している国、行ってみたい国は?」古市憲寿さんに聞く!(14)

上海には日本にはない盛り上がりがある

上海、ロンドン、ギリシャ……世界中を旅した古市さんが感じた「国の魅力」と「苦手な場所」とは?

日本はマインドからデフレになっている

「上海タワー」「東方明珠電視塔」などが位置する上海・浦東新区の夜景。

 上海は面白い建築物がたくさんあるし、行くたびに新しいビルができているので、とても楽しい場所ですね。「上海中心大厦(上海タワー)」という高さ632メートルの高層ビルがあったり、世界中のハイブランドが入った巨大ショッピングモールが夜遅くまで光り輝いてたり……まるで未来都市みたいな感じなんですよ。
 中国って、とにかく奇抜な建築物が多いんですよね。北京オリンピックで使われた「国家体育上(鳥の巣)」もそうですし、“パンツ”とも揶揄される「中国中央電視台」、「シェラトン湖州温泉リゾート」なんて、まさに“天にそびえたつ便座”ですからね(笑)。世界中の著名な建築家が、中国で次々に面白い建物を作ってるんです。

 最近の日本の建築はどうでしょうか。お金もないし、もうマインドからデフレだから、トリッキーなことができなくなっているんですよね。昨年、ザハ・ハディド設計の新国立競技場案が白紙撤回になった事件がまさに象徴的です。「デザインが奇抜すぎる」「予算がかかりすぎる」という二つの反対意見がいちばん大きかったそうですから。それで無難なもの、低予算のもの……となっていくと、つまらないものしかできませんよね。中国の経済成長はもうそろそろ限界がくると言われていますけど、まだまだ盛り上がっている国ですから、新しい挑戦的な案が通りやすいんでしょうね。

 それと、暮らしてみたいのはロンドンです。都市のスケールがそんなに大きくないから、比較的ストレスなく過ごせそうで。ただ、すごい空気が悪いらしいんですよね。僕もロンドンが好きで毎年行くんですが、その度に喉が痛くなってしまいます。ディーゼル規制が緩かったため、二酸化窒素の濃度がとても高いんです。
 ある報道によると、大気汚染が原因で年間1万人くらい亡くなっている……なんて言われています。ロンドンに住んでいる僕の友達は、「London Air」という“ロンドン内の空気が悪い地点を教えてくれるアプリ”を見ながら生活していましたね(笑)。

 他にも行きたい場所はいろいろあるんですけど、基本的に海外が多いかもしれません。結局、国内旅行でも移動時間って結構かかるじゃないですか。この前、宮崎の延岡に行ってきたんですけど、宮崎まで行って空港から車で二時間の移動が必要で、東京からだと約五時間かかったんですよ。延岡自体はいい場所だったんですけどね。

 それくらい時間がかかると、海外行くのもあんまり変わらないなと。距離とか時間とかはあまり気にせずに、歴史のある都市だったり、面白い場所に行きたい、というモチベーションで動いていきたいですね。

 嫌いな「国」は特にないんですけど、「島」は苦手かも知れません。島ってやることがないから、暇で暇で。昔、間違えてハワイに二週間も旅行に行っちゃったことがあるんですけど、僕は泳がないし、水上スキーなんかも興味ないので、退屈でした。それと、白い建物に青い屋根が有名なギリシャのサントリーニ島にも、昨年行きました。世界でも絶景で有名な島なんですけど……やっぱり島はやることがない。僕はあそこで何をすればよかったんでしょう(笑)。

 

明日の第十五回の質問は「Q15.どんな子どもだったんですか?」です!

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古市 憲寿

ふるいち のりとし

1985年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。株式会社ぽえち代表取締役。朝日新聞信頼回復と再生のための委員会外部委員、内閣官房「クールジャパン推進委員」メンバーなどを務める。日本学術振興会「育志賞」受賞。著書に『希望難民ご一行様』(光文社新書)、『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)、『だから日本はズレている』(新潮新書)などがある。

Twitter: @poe1985


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