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江戸から大坂に運ばれた「くだらない」もの

唯一ともいえる、江戸から大坂に運ばれた「くだらない」ものとは?

おやつではなく、肥料だった「いわし」

江戸時代の食の流通で面白いのは、江戸と大坂を比べても江戸の人口が図抜けていましたから、物流は大坂から江戸への一方通行だったことです。

河内の木綿・竜野の醤油・灘の酒といった、上方で生産される日常必需品は品質も良く、「下り物」と呼ばれて珍重されました。

こうした中で、江戸から大坂に運ばれた唯一と言っても良い商品があるのです。

九十九里産の「干鰯(ほしか)」です。鰯の煮干は子どものおやつではなく、畿内地方で行われていた菜種・木綿などの商品作物の栽培に肥料として用いられていました。

大坂から「下り物」を運んできた菱垣廻船や樽廻船は、干鰯をたくさん積んで帰っていったのです。

現代もみりん干しなどで食卓に並ぶ()()は、江戸時代には油粕や米ぬかのような上質な肥料として、江戸の産業を支えていました。

 

 

 

<『東大の日本史「超」講義』(相澤理)より一部抜粋>

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相澤 理

あいざわ おさむ

1973年生まれ。東京大学文学部卒業。

予備校講師として、数多くの東大合格者を輩出する。

現在はRGBサリヴァン講師として、首都圏の高校で指導にあたる。

また、動画サイト「学びエイド」(www.manabi-aid.jp/)にて無料動画授業を配信中。

著書に『歴史が面白くなる 東大のディープな日本史(1~3)』(KADOKAWA中経出版)、

『「憲法とは何か」を伊藤博文に学ぶ』(アーク出版)などがある。


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  • 2015.10.23