メイウェザーに花束投げ捨て 奥野卓志への批判が未だ収まらない理由【篁五郎】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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メイウェザーに花束投げ捨て 奥野卓志への批判が未だ収まらない理由【篁五郎】

■あまりにお粗末な釈明はそれだけではない・・・

 

 二つ目の違和感は、炎上騒ぎを起こした理由が緊急事態条項の危険さを知って欲しかったと主張している点だ。奥野は釈明動画で、

 「私は実は『緊急事態条項』という、今、政権与党がやろうとしてる。憲法改正で緊急事態条項というものが通されたら、この日本という国が実は終わるんですよ。私がどうしてこんなことをしてるのかっていうと、一人でも多くの方に(ごぼうの党を)知っていただきたいからなんですね」「悪名は無名に勝るという言葉があるように、まず、やはり知っていただかないことには」

と語った。名前を売るために意図的に無礼な行為をしたと。取って付けたようにしか感じられなかった。もしその意図が本心だったとしたらあまりに卑怯なやり方ではないか。参議院選挙の投開票日に生配信された「AbemaPrime選挙特番」(ABEMA TV)に出演した際、緊急事態条項反対を表明していたが、党の公約には緊急事態条項反対の記載は一切なにもない。

 炎上騒ぎを起こすほど反対ならば公約に載せるのが筋だろう。選挙戦で訴えていたかもしれないが、少なくとも筆者のところには届いていない。奥野の活動を知らない人から見たら唐突さしか感じられない。それどころか、奥野の無礼なマネは、同じ緊急事態条項反対派の筆者から見ると「あなた一緒にされるのは迷惑」の一言で終わるだ。

 なぜなら誰もが眉をひそめるような常識のない行動をする人間の話を人は素直に聞くだろうか? 「誰が言っているのかではなく、何を言っているのかで判断しろ」などと巷では言われるが、どんな人間が語っているのかは見過ごせない。多くの視聴者があの花束投げ捨て行為を「日本の恥」とまで思い、世界中から非難を浴びている人間の言葉を人は素直に聞く気にはならないだろう。イソップ童話の「オオカミ少年」の話を思い出すまでもない。

 本気で緊急事態条項反対を訴えるならば、街頭演説や講演会といった政治活動の場で訴えていけばいいだけのこと。れこそごぼうの党支持の有名人緊急事態条項の危険さを訴えて、彼らに納得してもらい、SNSで拡散を依頼すればいい。そんな当たり前の活動をせずに炎上騒ぎで売名した後に、緊急事態条項反対を訴えられても本当の反対派にとっては、その主張の真偽すら怪しいと思われてしまう。まったくもって迷惑千万。結局、自分を正当化するためにその場を取り繕う言動をしているだけなのだろう。

 10月3日に公開された元俳優・高岡蒼佑のYouTubeチャンネルにゲストで出演したときの奥野は、炎上商法は炎上をさせて商売をすること。今回の騒ぎで儲けは出ていない」などと発言している。花束を投げ捨てた行為からその後の釈明動画まで、いかに取り返しのつかない行為であったか。彼のその無自覚さに対して、知性なきさまを見てしまったがゆえの批判なのだろう。

 ちなみに現在まで、今回の件に関して朝倉未来からのコメントは一切ない。奥野卓志率いるごぼうの党の公式スポーツアドバイザーである朝倉未来はこのまま何も語らないのか・・・。

 

文:篁五郎

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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