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当時は画期的だった新幹線の冷水器と紙コップ

知っていますか?喉を潤せた新幹線の車内の逸品!!

 紙コップは形状が四角形ではなく、独特のカーブを描いていますが、これは「飲むときに鼻がぶつからないように」という開発者の細かい配慮によるものです。

「封筒型紙コップ」は、東海道新幹線開業に合わせて開発されたスグレモノ。独特の丸い形状は「飲むときに鼻がぶつからないように」との配慮から生まれた。

 冷水器には、保健所が指示する厳しい水質基準を満たした衛生的な水が、車両基地で貯水されました。あまり知られていませんが、この冷水器と紙コップのサービスは形態こそ変化(100系では洗面所ユニットに冷水器を組み込み。さらに登場時は紙コップが円筒型)しつつ、500系まで続いたのです。 

 しかし、冒頭の通り、ペットボトル飲料の普及などにより次第に廃止され、現存車の500系からも撤去されています。

 水を買うのが日常ではなかった時代。冷水器は、新幹線の快適な旅の一助にと開発された、何ともうれしい「おもてなし」のアイテムでした。

紙コップのホルダーはローラー付もあり、回転させると平たい紙コップが1 枚出てくるしくみ。こんな細かな器用さも見逃せない新幹線技術のひとつだ。

新幹線はすごい』より

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斉木 実

さいき みのる

1963年、東京都生まれ。多摩芸術学園写真学科(現・多摩美術大学美術学部2部)中退。嘱託カメラマン、スタジオアシスタントなどを務めるかたわら、鉄道写真に取り組む。現在は鉄道写真作家として鉄道誌や旅行誌のほか、幅広いメディアで活動。車両や駅などの本質をとらえ、精細に作画表現するのをライフワークとする。米屋浩二との共著で『ニッポン鉄道遺産』(交通新聞社)や『ローカル線を旅する本』(KKベストセラーズ)、池口英司との共著で『知られざる鉄道遺産 首都圏 』(交通新聞社)がある。


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