安倍周辺の〝夢見る夢子ちゃん〟の断末魔【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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安倍周辺の〝夢見る夢子ちゃん〟の断末魔【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第27回


葉梨康弘法務大臣は自民党議員が出席する会合で「死刑のはんこを押すときだけニュースになる地味な役職」などと自らの職務について発言。これに対し「職務を軽視している」などと批判が殺到。さらに、他の公の会合やパーティでも自己紹介として複数回発言していていたことも発覚。岸田文雄首相は葉梨大臣を1111日に事実上更迭。安倍暗殺後、その周辺の安倍友言論人たちが暴走を続けているが、その姿もカルトばりである。話題の最新刊『日本をダメにした B層の研究を刊行し、売国政治屋をのさばらせた近代大衆社会の末路を鋭く分析した適菜収氏の「だから何度も言ったのに」連載第27回。


あさっての方向からの統一教会擁護の連発で、ネット上では「お壺ね様」「壺サーの姫」といった愛称で親しまれている三浦瑠麗。

 

■門田隆将、三浦瑠麗・・・自分を客観視できないおぞましい人々

 

 安倍晋三周辺のいかがわしい連中、追い詰められてきましたね。森友学園の決裁文書改ざん問題を苦に自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんを巡る記事で名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之議員、杉尾秀哉議員が産経新聞社とライターの門田隆将に計880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は計220万円の支払いを命じた。

 判決によると、産経新聞は2020年10月25日付朝刊で「杉尾、小西両氏が財務省に乗り込み、約1時間、職員をつるし上げている。当該職員の自殺はその翌日の7日だった」とする門田の捏造記事を掲載。大嶋裁判長は「『つるし上げ』という集団的な批判や問責を行うことで自殺に追い込んだと(一般読者に)受け止められる恐れがあり、議員としての社会的評価を低下させた」と指摘したが、それよりもすごいのは、「両氏は近畿財務局や赤木さんに説明や面談を求めた事実はなかった」(共同通信)という部分。

    *

今回、自称保守系月刊誌の執筆陣の錯乱ぶりも面白かった。一連の統一教会報道の中で炙りだされた数多くのバカの中で、金メダル級のバカを選べと言われたら門田隆将は外せない。

 

「事実はなかった」。つまり完全な妄想。でっちあげ。現実と妄想の区別がつかない〝夢見る夢子ちゃん〟。怖いのはこんな人間が「週刊新潮」のデスクだったこと。ほんこんや三浦瑠麗みたいなカテゴリーはともかく、屋山太郎とか門田とか大手メディアにいた人間が、事実無根の記事を書いたりするのは本当に謎。

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 門田といえば低レベルの陰謀論をばらまき、安倍愛の妄想を膨らませるあまり、現実を無視することでも有名。安倍の国葬に関しては「トランプ、蔡英文、ダライ・ラマ、ゼレンスキー、プーチン、バイデン、習近平…敵も味方も世界の要人達が出たいだろう安倍晋三元首相の国葬」などとツイートしていたが、そのうち一人も出席しなかった。それ以前に、G7首脳の参加はゼロ。門田のツイッターのプロフィール欄には《現在の日本を「ドリーマー(夢見る人、観念論の人)」と「リアリスト(現実主義者)」との対立の時代と捉え、DR戦争と呼んでいる》とあるが、白昼夢を見ているのは、どこのどいつなのか?

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 昔の産経新聞にはいいところもあったが、低俗なネトウヨ路線をとりはじめてからは害しかない。産経新聞の一面で連載コラムを書いていた私が言うのもなんですが。

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 デイドリームビリーバーの中でも、断トツの夢子ちゃんが三浦瑠麗。YouTubeチャンネル「日経テレ東大学」では山上徹也容疑者の家庭に起きた献金問題について「たくさんあった財産がなくなったっていうのは、これはそんなに同情すべきかっていうのがあって。みんな1億円の資産ある人なんていないですからね、そんなに」「あるいはそれを競馬でスったって同じじゃないですか。統一教会のいろいろな手法は批判されるべきだけど、統一教会なら救ってあげて、競馬なら救わないって法はないでしょ。そういう議論ができないってことは、やっぱり結局、本質には関心ないんですよ」と発言。

 意味不明。反社やカルトの擁護もここまでくると、自民党や統一教会からしても迷惑だからやめてくれというレベル。皇民党事件の褒め殺しに近い。

 

■山際大志郎の復活とネトウヨ番組「虎ノ門ニュース」の消滅

 

 統一教会の創始者文鮮明は1989年に自民党の当時の安倍派を中心に関係を強化するよう信者に説いていた。「まず日本の国会議員との関係強化です。そうして国会内に教会を作るんです」「2番目は秘書です。国会議員の秘書を輩出するんです。3つ目は国会内に組織体制を形成することです。それで、自民党の安倍派などを中心にして、数を徐々に増やしていかなければなりません。分かりましたか」。2007年には「私は岸総理大臣の時から関与を始めました」と振り返っている。2006年に安倍が首相に就任すると、その1週間後に、文は安倍の「秘書室長」と面会するよう信者に指示している。

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 井野俊郎防衛副大臣の後援会には教団の関係者がいた。統一教会の関連団体が国政選挙で自民党国会議員に「政策協定」となる推薦確認書への署名を求めていた件では、大串正樹副デジタル相が署名したことを認めた。自民党の宮内秀樹衆院議員は統一教会のイベントに参加。萩生田光一、細田博之など教団と関係のある自民党議員は数え上げればキリがないが、統一教会問題を与野党の政局に絡めて語るネトウヨってどこまでバカなんだろうね。これはカルトが日本の政治に食い込んでいたという安全保障の問題。

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 第一次安倍政権で首相秘書官を務めた井上義行は、統一教会の全面支援を受けていた。統一教会の集会では教団幹部が「井上先生はもうすでに信徒となりました」と紹介。「統一教会にとって安倍晋三は天敵」とか言っていたメルヘンの国の住人もいましたね。門田隆将はこんなツイートもしている。

《虎ノ門ニュースで政治と宗教の関係、特に旧統一教会と創価学会について解説させてもらった。統一教会の“天敵”だった安倍晋三氏を真逆の“シンパ”に仕立てあげる地上波とアベガーの酷さ、創価学会丸抱えで中国共産党の主張と同一化する公明党の問題点を指摘。反響が大きく驚いた》

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 会長のヘイト声明で有名なDHCのネトウヨ番組「虎ノ門ニュース」が終了するとのこと。世の中が少しでも健全になっていくといいですね。同時に安倍周辺に寄生してきた悪質な連中をこのまま逃げ切らせてはいけない。

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 岸田文雄は萩生田に統一教会の被害者救済の新法策定の検討に入るよう指示。コントかよ。

統一教会とずぶずぶの関係の萩生田光一。これでは泥棒が泥棒を取り締まるようなもの。いい加減にしろ。

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 統一教会との関係を巡り、デタラメな発言を続け、やっと経済再生担当大臣を辞任した山際大志郎が、わずか4日後に新型コロナ対策本部長に就任。これについて萩生田は「今までの知見を生かして仕事をしてもらうということで私の判断で指名した」と説明。コントかよ。

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 河野太郎がテレビ番組で統一教会に対する「政府の対応」が遅かったかと聞かれると「線を引くなら、きちっと線と引いて、ここから先、関係を断ちます!って申し上げて、それを徹底しているところをお見せするのが大事だと思う」と発言。何度も言うが、「ここから先関係を絶つ」のは当たり前。一番の問題は、これまで関係をもっていた連中をどうするかという話。ドヤ顔している場合ではない。結局、河野にはなにもできない。

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 統一教会が日本テレビ、ジャーナリストの有田芳生、TBSラジオ、紀藤正樹弁護士を提訴したとのこと。教会側は、テレビ番組で有田が「霊感商法をやってきた反社会的集団というのは警察庁も認めている」と発言したことに対し「名誉毀損」を主張している。面白かったのがその根拠として、日本政府の閣議決定を持ち出したこと。安倍主催の「桜を見る会」には統一教会関係者、悪徳マルチ商法の「ジャパンライフ」会長、反社会的勢力のメンバー、半グレ組織のトップらが呼ばれていたが、201912月、政府は反社会勢力の定義について「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だ」とする答弁書を閣議決定している。アホくさ。

    *

 安倍政権の78カ月と、そこに群がったいかがわしい連中が引き起こした壮大なコント。これは悪夢ではなく、この先のわが国に重くのしかかる現実である。

 

文:適菜収

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  • 目次

はじめに−−「B層」とは何か?

✳︎

第一章 内田樹と『日本辺境論』

辺境と偏狭

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

B層グルメと某評論家

B層という言葉が出てきた経緯

なぜ日本はこんなことになってしまったのか

ルース・ベネディクトの『菊と刀』

安倍晋三の行動原理

学問のブレイクスルー

マイケル・ポランニーと暗黙知

百人一首を暗記する意味

「型」を知るということの贅沢

 ✳︎

第二章 自立を拒絶する人たち

白井聡の『永続敗戦論』

終戦記念日という欺瞞

冗談は櫻井よしこさん

「サヨク」と「保守」の自己欺瞞

「主権の欲求不満」の解消

 ✳︎

第三章 「正義」を笠に着る人たち

ウクライナ首都の名称変更は「正義」なのか?

「人間は見たいものしか見ない」

社会的リンチというB層の「正義」

人種問題における「正義」の暴走

「ルッキズム」批判は「正義」なのか?

言葉狩りは「正義」なのか?

若年層に選挙権を与えるのは「正義」なのか?

山本太郎と「正義感」について

 ✳︎

第四章 陰謀論に走る人たち 

「無知の知」と「無恥の恥」

不道徳としか言えない果物屋

「維新に殺される」

新型コロナは「バカ発見器」でもあった

ひっくり返って駄々をこねる老人たち

Yahoo!ニュースのコメント欄

知識はあるけど教養がないバカ

デマは言論の自由にあらず

社会の変化は元には戻らない

99%の人が知らない話

✳︎ 

第五章 無責任な人たち

安倍の次は維新に騙されるB層

メディアの劣化が止まらない

大阪都構想のデマと事実隠蔽

総選挙で湧いてきたB層

✳︎ 

第六章 恥知らずな人たち

飼い犬の遠吠え

安倍晋三の本質を映し出す一枚

ツッコミ待ち政治家だらけの国

日本の崩壊に気づいていないB層

日本最大の権力者は「改革バカ」

「ジューシー」発言は外部の拒絶

悪意なく嘘を重ねる人々

カルト化した自民党広報本部

百田尚樹の「歴史改ざんファンタジー」

日本人は悪に屈したネトウヨ用語を使い騒ぎ出した元首相

✳︎ 

おわりに−−人間は過去を忘れ野蛮は繰り返される

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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