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談志、たけし、太田光に続けるか ウエストランドと爆笑問題の違いとは?

◆問われる瞬発力とギャグ化のセンス

 

 太田光には出来事を即座にギャグにする閃き、即応性がある。

 爆問の漫才は、スキャンダルが明るみに出た政治家から芸能人まで主に個人を即座にギャグ化する「時事ネタ」。

 ウエストランドは(あくまで私の知る限り)ある風潮や集団に対して誰もが思っている変なところ(違和感)をズバッと指摘する「世間への突っ込み芸」。業界バージョンや恋愛バージョンなどジャンルは様々だが切り口の多くは「ウザイ」で、ウザイあるあるネタとも言える。(今回はウザイアイドルあるあるがよかった)

 井口がその場にいない「ウザイアイドルという集団」に突っ込みまくるので、相方の河本は井口を突っ込む余地がなく、困った顔を浮かべる芸風になったのかもしれませんね。

 そこらが爆笑問題とウエストランドの違いだと私は思う。

 もう1つの相違点は、爆問が主に著名な個人にスポットを当てるのに対し、ウエストランドはあるカテゴリーの人たちへの突っ込みが多く見られる。そのため、より多くの一般人が該当するケースが生まれ、ネットで叩かれやすいかもしれない。

 爆問を継承するには、昨日の出来事をネタにする瞬発力。テレビの芸人の出世コースは「ネタ → バラエティーの雛壇などゲスト → MC」だから、雛壇からはアドリブの瞬発力も求められる。

 誰もが思っていることをズバッと口にする芸風にプラスして、ギャグ化する。

 単なる私の私見だが、この2つを獲得してほしいと願う。

 マスコミはすぐにウエストランド叩きに走るだろう。そのようにネットを誘導したほうが安易に商売になるからだ。芸人との競争以外にも世論との闘いも待ち受ける芸人への期待は大きい。

 

◆「ガス抜き」が芸人の役割

 

 江戸時代から昭和までは寄席という場で、芸人が世の中の不平をネタにして庶民のお客が笑ってガス抜きしていた。金持ちや成功者のしくじりや悪口もネタにして、客は妬みや欲望など下世話な欲求も満たした。

 今は毒舌を言う芸人や少しでもはみ出した発言をするタレントをネットで叩くことで、庶民は下世話な欲求を満たしているのかもしれない。「ガス抜き」という芸人の役割は本質的には変わっていない。

 

文:松野大介

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

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