精神的自立が難しい〝学歴コンプの大学生〟はどうなっていくのか【たらい回し人生相談】(後編)
【たらい回し人生相談】〜ヤバいやつがもっとヤバいやつに訊く〜 連載第2回
「ヤバいやつがもっとヤバいやつに訊く」・・・本邦初のカルト人生相談シリーズ。今回訪ねてきたのは、学歴厨のFラン大学生「K君」。中学受験失敗以来ずっと学歴コンプに悩まされつづけてきたK君は、“正しい生き方”なるものを求めて彷徨いつづけている。すぐになんでも正しい答えを欲しがって周囲の人たちを困惑させる姿は駄々をこねる幼稚園児のよう。そんな彼が相談する相手が、「大司教」と呼ばれる謎の危険人物。ある筋では名の知れた博覧強記の異常天才である。先般の人生相談の一部始終を公開。さらに本人たちによる原稿校正時のコメントもそのまま付記した。前編につづき今回は後編。
(前編のつづきから)
【彼にとって学びとはなんなのか】
なぜ学歴にこだわるの?:
大司教:君は会う人全員に学歴について質問するけど、なんでそんなに学歴にこだわるの?
K君:中学受験は自分の黄金期なんですよね。
大司教:お、おう。
K君:人生でこれほど頑張る事ってもうないって思いましたから。でも第一志望(の麻布)に受からなかった悔いがあるんだと思います。決着をつけたい。
大司教:決着はもうついてるだろ。
K君:まあなんかこう。
大司教:麻布も浅野も大差ないだろ。あで始まるから一緒だよ。
K君:まあ麻布と浅野の差より……(私立中学のレベルについて長く(注11)語る)
大司教:まあいいよ。
こだわるのをやめる:
大司教:最近は逆に学歴に興味がなくなったってしきりに言ってるけどあれは何?
K君:まあ最近筑駒って聞いてもあんまり心を動かされなくなってきたんですよ。名前でしかないからべつにいいかなって。
大司教:かっこいい~。
K君:ブランド校がかっこいいと思ってたのはあると思います。
大司教:それだけ執着していたものがなくなると喪失感とかはあるの。
K君:ムスリムとして生きていくのが理想なんですけど。
大司教:じゃあそうすればいいじゃん。
K君:最近は礼拝も定期的にできるようになったんですけど、(宗教的な)沐浴というのは風呂でなくてシャワーでもいいのかとか、そういうのが気になる。
大司教:それは細かい規定があるんですかね。君は自分のする礼拝とかの宗教行為について、シャワーはいいかダメかとか、足首の角度がどうとか、わずかな違いで有効か無効かみたいなのに執着して形式にすごくこだわって質問しようとするけど、宗教なんだからもう少し規範とか精神的な話のはずでしょ。
K君:でも……。
大司教:沐浴だって、要するに体を清めることが要点でしょ。逆に形式がちゃんとしてても実質や内心が伴わなきゃダメだってなると思うんだけど、いったい何を問題にしているわけ? どうでもいいはずの枝葉にすごくこだわっているように見える。
K君:あるべき全体像がわからないので細かいところに目がいくんだと思います。
大司教:それで不安になって、その不安を周囲に質問という形で押し付けているわけね。そういうのを邪心というのでは。
K君:間違ってたらイヤじゃないですか。
大司教:できる範囲で適当にやればいい。
K君:そういうのが苦手なんですよね。
大司教:信仰心が問われるところで、完璧に出来ないからやらないって態度をずっととってるけど、それはおかしいよね。一日に五回の礼拝ができないから一回もやらないってのは変じゃないかな。できる範囲でとりあえずやってみればいい。
K君:まあ取り組んでいるつもりです。
大司教:ならいちいち細かいところを質問して「中田先生にラインで聞いてください」ってやる必要はないでしょう。君はとあるムスリムの人から、何かと理屈をつけて礼拝もしない人と見なされています。
K君:そうなんですか……。
✳︎校正付記 K君による補足: 夜の礼拝は必ずやってますよ。 大司教による補足: (形式や内心の問題について)宗教的にはこみいった議論があるけど日本人向けならこれでいいです。
なぜ周囲に見放されたの?:
大司教:きみはもう個別のことで怒られているわけではありません。むしろ呆れられているだけです。
K君:じゃあなんでおこられてるんですか? 中学受験の話ばかりしているからですか? 私のツイートが目に入ったのですか?
大司教:ツイートは不快ですね。
K君:私のツイート見てくださっているんですね、嬉しいです。
大司教:呆れられているのは、なにを説明しても理解せず、なにをアドバイスしてもやらず、的はずれな質問を延々と返してくるばかりだからです。
K君:一応従いはしたはずですが・・・
大司教:一応とは具体的に何をしたんですか?
K君:求婚、礼拝の代替行為、読書等。
大司教:では従ってるようには到底見えないか、さもなくばアドバイスが無意味だと思える状況だったんでしょう。
K君:なるほど。
大司教:ちなみに私も君と会話が成立してるようには思えません。要するにきみは「話が通じない人」です。
K君:一応成立してません?
大司教:全然。文章の意味が通ってないことが頻繁で、しかも話が飛びます。
K君:会話したじゃないですか、電話で。大司教って健常者ですか?
大司教:障害者同士でも会話ぐらい成立しますよ。私は色々な症状を持つ人と話したことがあります。閉鎖病棟に入院している人とも、自殺する直前の人とも、殺人をする直前の人とも話したことがある。でもその中でも君はそうとう話が通じないほうです。
K君:わからないですねえ。
大司教:一般に言う物覚えが悪いというのと違うんですよね。君の話には、難しい専門用語なんかも沢山出てくるけどつながりがない。普通だと悪意があると思われるところですが、君の普段の無能ぶりを知っていると、悪意がないことは分かる。だから無知免責だと言われた(注12)んです。あなたはその言われたことについてまたしつこく質問してたけども……。
K君:自分に責任能力があるのかないのかわかんないんですよね。あるのかもしれない。
大司教:それだと、本当はできるのに意図的にやらなかったことになるけど。
K君:やってみたらできたみたいなのもあるので。
大司教:まあ大丈夫だと思いますよ。
K君:でも自分が救済されるか気になるんですよ。
大司教:大丈夫じゃないすか。知らんけど(注13)。
✳︎校正付記 大司教による補足:アントニオ猪木が楽園に行くならばそれ以外の日本人は楽園に行けないはずだ、と繰りかえし主張されたときは特に困った。 初歩的な推論ミスだと指摘しても自然言語はあいまいだからと返さ れて困り果てた。
インタビューの途中でも問いを発し続けるなぜなぜK君、その中に頻繁にさし挟まれる問いがあった。「なぜ自分は中田先生にブロックされたのか」である。中田先生のストーカーである彼は、たびたび「中田先生に会わせろ」「中田先生に自分の質問を取り次げ」と要求し、そのたびに話は脱線する。
✳︎校正付記 K君による補足:"会わせろ"というより"会いたい"では? 筆者による補足:どっちみちストーカーじゃん……。
バカブロックされた理由:
大司教:そもそもブロックされたきっかけというのは?
K君:中田先生に質問したのがきっかけで(詳細な事実関係は要領を得ない)。
大司教:えーと、ちょっとわからない。
――いや、それまでもいろいろあって、蓄積してブロックって感じですね。特定の原因というよりは。ツイッター上のやり取りで怒られたのも一回ではないです。周囲の人にもクソリプ送りすぎ。
K君:そう言えば○○(スタッフの名前)さんも僕をブロックしてますね。
――あっはい。絶縁したいとかはないんですけど。まあなんか、その、不快なんで。
K君:なにがまずかったのかな?
――うーん。たとえば△△先生(関係筋の学者)の写真を張って「イケメンかどうか」って話をしていたのがなんか、閾値を超えたのはそこですね。
K君:肖像権とかがまずかったかな?
――そういうことではないんですが。
K君:アイドルとかでみんなそういう話するじゃないですか。
大司教:△△先生はアイドルではないですよね。
K君:中学受験の話ばかりするからとか?
大司教:ツイートや話題についてどれが悪かったのかとかそういう問題じゃないんですね。それがなかったとしても別のところで嫌がられてるんだから。もうこいつ無理だなっってなったんでしょうね。
K君:んー。
大司教:こないだ食事の席で君に会ったとき、いきなり俺のズボンで手を拭きながら学歴について質問してきたよね。
K君:わざとじゃないですよ。無意識で。えへへ。
大司教:わざとだったら二度と会ってませんよ。
K君:いつもは自分のズボンで拭くんですよ。
大司教:じゃあなんで俺のズボンで拭くんだよ。
K君:理由なんてないですよ。
雪崩は積もった雪で起こるが、雪崩の原因になった雪の粒を特定しようなどと考えても意味がない。そんなような話であるが、その抽象的な意味がK君に伝わったのかは定かではない。
大司教:病気だね。医療の問題だと思う。
注11:鉄ちゃんが鉄道の話をする時の感じ。 注12:問答は宗教関連の専門的要素が強いので省略したが、一般的に言えば責任能力についての話題。K君がさいきんこだわっている論点。 注13:いっけん放り出しているように見えるが、こうとしか言いようがない。死後の救済などについてはそもそも人間が決めることではないわけで……。
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