再エネ賦課金で事実上の増税?「インボイス問題」が放置されているのはなぜか
大手メディアが全く取り上げない非難殺到のインボイス制度。その真相とは
■事実上の増税を国民に強いる方向へ動いている・・・
ちなみに経過措置というのは、最初の3年間(2026年9月30日まで)免税事業者等からの課税仕入れの80%、その後の3年(2029年9月30日まで)は50%を控除するから、その間に自分たちで何とかしろというもの。6年後はすべての事業者がインボイスに登録しないといけなくなる。
補助対象の拡大というのは、従来からある小規模事業者持続化補助金とIT導入補助金、ものづくり補助金がインボイス登録も条件として入ったものだ。総額2000億円あるそうだが、すべての事業主が受け取れるかどうかはわからない。これらの経過措置については、6081人の個人と30の団体が反対を表明している。
インボイス制度はFIT事業(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)にも影響は及ぶ。FIT事業者の多くは個人だから仕入れ税額控除できない。それを再エネ賦課金で賄うという。再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(太陽光発電など)によって電力会社等が買取りに要した費用を、電気の使用量に応じて、電気料金の一部を利用者(国民)が負担するものである。しかも電気の買取義務者(電力会社)だけはインボイスで損しても「調整交付金」で救済されるが、利用者は救済の対象外だ。つまりインボイスによって電気料金が値上げされる。利用者の負担分は総額はいくらになるのかわかっていない(※)。
参加議員からは「不安の声があるのに払しょくするような回答がまったく出てこない」「国民の負担が増すばかり」「制度がわかりにくい」という意見が飛んだ。次から次へと問題が出てくる状況のままでは混乱するだけであろう。財務省も国税庁も同じ答弁を繰り返してやり過ごすのは止めにして、前向きな改善案を与党自民党と公明党に提案してほしい。岸田首相はTwitterで「虚心坦懐に徹底的に国民の声に向き合う政治を行って参ります」とツイートをしたが、まったく聞いているとは思えない。このままインボイスを強行すれば、事実上の増税を国民に強いることにならないだろうか。
※2月17日の衆議院財務金融委員会の質疑で資源エネルギー庁が「2023年度は約58億円必要」と明言した。
文:篁五郎