なぜ信者は教祖の復活を祈り続けるのか?「今からでも間に合う!幸福の科学入門」(後編)【もっちりーま】
宗教二世問題から考えるべきこととは(後編)
■2. 官僚体制の根拠になった「三法帰依」
「三法帰依」は仏教用語ですが、幸福の科学においても教義の真髄の一つといえる、今後の教団運営を予測する上でも避けて通れない概念です。幸福の科学において、エル・カンターレ、つまり大川隆法氏が唯一の信仰対象ですが、信者はその神を信じるだけでなく、これまで説かれた教え(法)を実践すること、それを広めようとする仲間(僧)と共に修行をするという姿勢が必要だとされています。
それは教団の入信制度からもわかります。幸福の科学の入信制度には「入会」という、支部や精舎などの教団施設で「入会式」に臨むか、インターネットで申し込むことで「会員」になり、会に所属してみて、勉強をしながら理解を深めている第一段階と、「三帰誓願」という第二段階があります。
「入会」と「三帰」で異なる点は「三宝帰依」、仏・法・僧の宝に帰依を誓うことによって、仏(エル・カンターレ)の弟子として修行に励み、他の信者(僧)とともに教団を支える役割を担うと誓う部分です。
■3. 清水富美加もした「出家」とは
そしてその誓いを実現させる一つの手段として「出家」や「お布施(寄付のこと)」という制度があり、教団の維持・拡大へ協力することになります。「出家」とは世間から見たら単に「宗教法人に就職する」というだけで、家族や友人との縁を切るとか、有り金を全部布施するということはありません。
幸福の科学の職員は全国に300箇所ほどある支部で市区町村レベルを管轄する支部長、37箇所ある精舎という宿泊機能を持つ修行施設で県レベルを管轄する館長などが、最も人数も多く、布教や修行を担う出家者です。
しかし教団の出家者はそれだけでなく、人事、国際、メディア芸能、政治、教育などの分野ごと部署に分かれ、さらに、例えば出版部で扱う雑誌の種類などによって課が分かれ、その中にも細かいヒラから主任、部長、専務などの役職が与えられます。つまり、幸福の科学は部署や階級があり、明確な権限の範囲や規則がある、官僚型組織として運営されています。
出家制度を作ったことは、大規模で効率的な布教活動が可能にしたと同時に、職員を養うための安定した財源が必要な状況を作り出し、研修や祈願という収入源の開発を推めることにもなりました。
■4. 教団批判は和合僧破壊の罪?!
教団の体制の元となる「三法帰依」で重要なのは「和合僧破壊の罪」を犯さないということだと言われています。「和合僧破壊の罪」とは、仏法僧の三法を犯すこと、つまり神である大川隆法氏、幸福の科学の教え、幸福の科学の信者や教団を誹謗中傷したりする罪のことです。地獄行きが即決定する殺人より重い罪とされていますが、教団内部向けには大川家の元妻とご長男は、この「和合僧破壊の罪」で永久追放(除名)処分ということになっています。
「法に則った教団運営をしていく」というのも弟子の義務であり、法に則っているかを監視することも「僧帰依」の役割の一つなので、教団を批判することが即「和合僧破壊の罪」になるわけではありません。しかし重要なのは、神に従わせるだけでなく、神とは別に従うべきもの、官僚体制の教団を構築したという点です。
在家(宗教法人の職員として給料を得ていない)信者の方達はこれまでも、大川家の子供達や幹部、職員の人間性や、能力に失望したり、不倫などの世俗的な問題があったとしても、「所詮人間だ」、「教えを広めていくのは自分たちだ」という気概で頑張ってきた方が少なくありません。彼らは重要なのは「三法帰依」だ、と認識しているため、今後後継者に能力がなかったとしても、教団の活動が縮小していったとしても、今更失望して脱退する人より、「だからこそ頑張ろう」となってしまう方の方が多いのです。「前編」で述べたように、後継者争いは一般の信者にとってどうでも良いことなのです。