あおむろひろゆきのてくてく子育て日記〈第6話〉「初恋の風は突然に」
ある日、保育所からの連絡ノートに衝撃の事実が書かれていて……
保育所には連絡ノートというものがありまして、担当の先生が毎日の保育所での様子を丁寧に書き綴って下さっています。
「今日は紅葉のきれいな公園に行きました。一生懸命落ち葉を拾っていましたよ」
「お散歩中に泣かなくなりました。お友達とちゃんと手をつないで仲良く歩いています」
我が子の姿を想像しながら読みます。私たちの手を離れた場所で、小さな体で頑張っているんだなあと胸が熱くなることもしばしば。そんな毎日の楽しみである連絡ノートを読んで、ある日衝撃が走りました。
「今日はお友達のかずくんと手を握り合って、ジィっと見つめ合っていましたよ」
「公園で遊ぶ時もずっとかずくんと一緒でした」
全身にビリビリと電流が流れるというよりは、魂がフーっと抜けてゆくような感じ。人は遅かれ早かれ恋をするとは思いますが、やはり愛する我が子のこととなると、複雑な気持ちになるものです。
お風呂に入っている時にさりげなく「かずくんのこと、好き?」と聞いても無言で首を横に振るだけなので、余計にもやもや。ちょうどその数日後に保育所の参観日があったので、我が子の未来の結婚相手かもしれないかずくんの事を、しっかりとこの目で確かめることにしました。
参観日当日。かずくんは1歳過ぎにしてはとても礼儀正しく、かつ何故か私に甘えてくるので、参観が終わる頃には私もすっかりかずくんの事が大好きになってしまいます。我が子も良い相手を見つけたもんだと晴れやかな気持ちになるとともに、やはり少し寂しい気持ちにもなりました。
その数日後の連絡ノートには「今日は◎◎くんとベッタリでしたよ。かずくんが隣に来ても無視でした」と書かれていました。乙女心は難しいものですね……。
この連載は隔週金曜日の更新です。第7話は、2週間後の5月27日(金)に更新予定です。次回もお楽しみに!