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「LGBT理解増進法案」がヤバい!? 「同性結婚」のいったい何が問題なのか【谷龍哉】

「強制結婚」から「自由結婚」のさらなる沼へ:結婚制度の変遷と今後の課題

写真:PIXTA

 

 SNSのサムネイルに男性が女性のアイコンを使っている人がよくいますが、自分自身を表すアイコンに好きな女性のアイコンを使っているのは好きだからこそという理由だと思っていました。

 しかし、YouTubeなどVtuberVチューバー、アニメキャラを使って配信活動をする人)に誰でもなれるようになった今、男性が女性キャラを使っている光景を見て、単にそのキャラクターが好きだからだけではないのか?と、大いなる疑問が頭にこびりついております。

 正直、私には何故そうなるのか分かりませんが、男性が女性キャラの体を使って活動することにみなさんあまり抵抗感がないということなのでしょうか?

 こういった自分の価値観と世間のギャップを目の当たりにすると、「当たり前だと思っていたことも、当たり前ではなかったんだな」と思うように心がけています。 

 

 さて、同性結婚をめぐり今年2月、新井元首相秘書官がオフレコで発言した「見るのも嫌だ」などと発言した内容が報道され、大きくネットで議論がひろがり、国会も同性結婚に関してやや混乱している様相をみせていました。この問題については、いまひとつ議論が建設的に進んでいない印象を受けます。(1 注7)

 同性結婚を、恋愛の延長線上として認識して考えていると問題点が見えにくいため、関係する問題と課題を整理しつつ話していきたいと思います。

 

【結婚とはなんぞや?】

 そもそも日本は古来より今のような恋愛結婚が主流の国ではなく、1898(明治31)年に公布された明治民法によって恋愛による婚姻制度の土壌が出来ました。(2)

 この明治民法が公布されるまで、庶民の結婚とは夫婦別姓であり、そのほとんどが共働きで財産も別にしていたようです。また、その多くは10代同士の男女が一般的で、25歳も超えて相手がいない場合は結婚できなかった後家扱いとされて生存も危ない地域もあったと見られます。

 昔の日本を題材にした物語では女性が他家に嫁ぐようなイメージが強いかもしれませんが、それは武家のような一部の人たちだけの話であり、庶民にとってみたら結婚しようぜ!くらいの感覚だったのかもしれません。

 当時の庶民にとって、「結婚とは家に入ることである」といった価値観はなく、そこへ明治民法の公布により「家制度」が導入されたことにより、現代の結婚制度の土台となる男性が働き女性が専業主婦として家を守る基礎が築かれました。

 一部では、この明治維新以後固まった庶民の家制度のことを欧州の慣例に習い家父長制とすることもありますが、実際には日本の制度はより緩やかで、当時から女性が家長となり戸籍に残すことも可能となっていました。

 ここで重要なのは、今ある結婚の歴史は1883年から2023年の140年間しかないことです。我々日本人にとって今の結婚制度というのはそこまで歴史あるものではないんですよね。

 110才を超える明治生まれの両親や祖父母が、ちょうど家制度に移り変わる時代を生きていた世代になるので、ご存命の親族がいらっしゃる方は昔の結婚について聞いてみると、当時の話を聞けるかもしれません。

 時代劇なんかでは明治以前の武士を題材にしていることが多く、その時代に生きた庶民の皆さまはあくまでモブキャラであり、生活の実情に焦点を合わせて細かく描かれることはほとんどありません。庶民の暮らしを見ても地味で面白くないから仕方ないのです。

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谷龍哉

たに りゅうや

谷 龍哉(たに・りゅうや)

1983年生まれ。三重県伊勢市出身。ネット情報アナリストとして、インターネット上の社会事象や問題発生の経緯の情報収集、分析に従事。

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