見逃すな!腹痛は腸からの緊急メッセージ
放っておいたら命取りになることも
その痛み方、ひょっとしたら○○かも……
押して離すと痛い
ひょっとしたら……虫垂炎?
お腹を押した手を離すと、ビリビリとした鋭い痛みが周囲に響くように走る。歩いたときにも、その振動で痛みが響く。この場合、虫垂炎などが悪化して、腹膜炎を起こしている可能性がある。腹部全体が硬くこわばるのも特徴。胃や腸などの臓器を覆う腹膜内に細菌が広がっており、最悪の場合は敗血症につながって死に至る。一刻も早く治療を受けなくてはならない。
押すと痛い
ひょっとしたら……便秘?
健康な腸であれば、手で軽く押した程度で痛みは感じない。しかし、腸内に便がたまった状態だと、痛みや張りを感じることがある。特に小腸の出口周辺の盲腸、右側上部の右結腸曲(肝湾曲)、左上部の左結腸曲(脾湾曲)、直腸手前のS寺結腸の4カ所は大腸が大きくカーブしているため、便の流れが滞りやすい。押して痛ければ、硬い便が残っている可能性がある。
キリキリと痛む
ひょっとしたら……過敏性腸症候群?
腸に炎症や潰瘍などがないにもかかわらず、腹痛や下痢、便秘を繰り返す病気。比較的若い年代に多い。いつ腹痛や便意に襲われるかわからず、停車駅の間隔が長い急行や快速に乗車できなくなるため、「各駅停車症候群」と呼ばれることもある。ストレスを受けた際に腸が過敏に反応して信号を発し、下痢などを起こさせる。近年では腸からの信号をブロックして症状を和らげるタイプの薬が使われる。
監修/大竹真一郎(おおたけ・しんいちろう)
1968年生まれ。神戸大学医学部卒業。消化器官専門医として、けいゆう病院、辻中病院柏の葉などで研鑽を積む。大腸内視鏡検査は通算1万例以上。2015年おおたけ消化器内科クリニックを開院。著書に『腸の「吸収と排出」が健康の10割』(ワニブックス)などがある。
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