“マイナンバートラブル続出” ヒューマンエラーの実情とは? デジタル化の必要性とは?【谷龍哉】
◾️マイナンバーカードを返納する人が続出!?
日本は急速なデジタル化を進めている真っただ中にありますが、どうも全国民がスマホを持っていることを前提にしている節があり、スマホを持っていなかったり、うまく扱えなかったりする国民は、このビックウェーブから置いて行かれそうな気がしてならないんですよね。そんなことはないと思いたいですが。
さて、何かと話題のマイナンバーカードですが、少なからず「マイナンバーカード」と「マイナンバー」を混同している方が多くいるように思います。
マイナンバーとは、2013年に公布された「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」によって制度化された「マイナンバー制度」のことで、国内に住民登録されているすべての方に12桁のマイナンバー(個人番号)が付番(ふばん)される制度になります。
マイナンバーカードを持っていなくても、マイナンバー(個人番号)が記載された「個人番号通知書」は全ての方が持っているハズなので、「ないよ?」という方は再発行をして下さいと言いたいところなのですが、この個人番号通知書は再発行が出来ません。
生涯で1度しか発行されない通知書ですが、この通知書の存在を知らなかったり、忘れてしまったりする方もいるのではないでしょうか。
紛失した場合は、「マイナンバーカードの取得・マイナンバーが記載された住民票の写しの取得・住民票記載事項証明書の取得」の、いずれかの方法でご自身のマイナンバーを確認することが出来ます。(注1)
いっぽう、マイナンバーカードも同法「第三章 個人番号カード 第十六条のニ」にて、「機構は、政令で定めるところにより、住民基本台帳に記録されている者の申請に基づき、その者に係る個人番号カードを発行するものとする。」とされており、2016年1月から交付が開始されています。(注2)
約7年前からマイナンバーカードの発行は開始されていたのですが、今になってマイナンバーカード関連のトラブルが相次いで報道されるようになってきています。
この辺りは、マイナンバーカードと他機関の情報を紐づけるようになってきたことや、6月2日にマイナンバー改正法案が成立したことで注目が高まったことに起因している印象があります。
マイナンバーカードの返納をする方がいるらしいのですが、単に返納するだけなら「マインバーカード反対の意思表明」以上の意味はほぼありません。
運転免許証と違って、マイナンバーカードそのものはなんらかの資格を証明するものではなく、返納したからといって、マイナンバーが失効するわけでもないので、便利なカードをただ返納することになります。
もし何かするのであれば、マイナンバーカードと各種機関の連携をしない、または連携を解除し、マイナンバーカードを金庫にしまっておくのが良いんじゃないでしょうか。
なお、マイナンバーカードと健康保険証を連携すると、連携の解除が出来なくなるので注意が必要になります。(注3)
注) 1)個人番号通知書について https://www.kojinbango-card.go.jp/mynumber/number_notices/ 2)平成二十五年法律第二十七号 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000027 3)マイナポータル Qマイナンバーカードの健康保険証登録は削除できますか。 2021/12/16 https://faq.myna.go.jp/faq/show/5085?category_id=26&site_domain=default
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“なぜ日本のデジタル化政策は失敗ばかりするのか?”
甲斐誠著『デジタル国家戦略 失敗つづきの理由』(ベスト新書)
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<内容>
■過去を振り返れば、日本のデジタル国家戦略は失敗の連続だった。高い目標を掲げながらも先送りや未達成を余儀なくされるケースが多かった。なぜ失敗つづきだったのか? どうすれば良かったのか? 政府主導のデジタル化戦略の現場を密着取材してきた記者がつぶさに見てきたものとは何だったのか? 一般のビジネスマンや生活者の視点もまじえながら、「失敗の理由」を赤裸々に描写する。
■そこには、日本の組織や人材の劣化があった。読者は他人事とは思えない「失敗する組織」の構造を目の当たりにするだろう。
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■セキュリティの厳しさから、DX推進の総本山であるはずのデジタル庁は、中央省庁の職員でさえ敷居が高く、全貌が見えにくい。急激に変貌する社会とわれわれはどう付き合っていけば良いのか? 本書ではデジタル庁とその周辺で今後起きる事態を予測しつつ、読者に役立つ知識を提供する。
<目次>
まえがき 日本のデジタル国家戦略は、なぜ失敗しつづけるのか
第一章 即席官庁
理由1■創設前夜
・時間365日
・地方でも都市並みを提言
・イット?
理由2■15番目の省庁
・人集め
・虎ノ門から紀尾井タワーへ
・幹部人事
理由3■デジタル庁始動
・新しい社会を
・リボルビングドア
・誓約書
・総裁選不出馬
第二章 監視社会
理由4■エルサルバドル仮想通貨大失敗のゆくえ
・ビットコインを法定通貨に
・ビットコインの街
理由5■GPS管理される社員こそ本物の社畜
・リモートワークで暴走する社員管理
・「部屋を見せて」
・ウェブ閲覧履歴はどこまで見られているのか
理由6■社内メールで懲戒になる例とは?
・東京都職員の例
・心理的安全性
・情報はどこまで守ってもらえるのか
第三章 未完のマイナンバー
理由7■マイナンバーと口座の紐付けをぶち上げた総務大臣の苦杯
・コストパフォーマンスが悪過ぎる
・口座紐付け
理由8■取った方が良いのか
・キャバ嬢のケース
・張り込み週刊誌記者の場合
理由9■始まりは「国民総背番号制」
・70年代に検討取りやめ
・多数の不正利用
・3度目の挑戦
理由10■マイナンバーの登場、そして利用範囲の拡大
・相次いだトラブル
・信頼なき社会
第四章 相次いで登場した政府開発アプリ
理由11■政府が推奨したCOCOA、失敗の原因
・不具合
・8・5倍に膨らんだ契約額
理由12■オリパラアプリ、思わぬ副産物
・アプリ一つに73億円
・転用、使い道広がる
・電子接種証明書を開発
第五章 システムとデータで日本統一
理由13■アマゾンを採用した日本政府
・政府調達で日本企業の参加なし
・システムトラブル
・外資にやられる日本
理由14■システム統一の野望
・17業務
・書かない窓口の普及
・自治体は国の端末になるのか
第六章 デジタル敗戦からデジタル統治への野望
理由15■敗北の実態
・本当に負けていたのか
・加古川方式
理由16■新たな統治構造
・役所から人が消える日
・デジタル庁が思い描く未来
・未来社会の到来を阻む障害とは
・ネオラッダイト
理由17■サイバー攻撃に耐えられるデジタル統治国家なんて幻想
・世界初の国家標的型サイバー攻撃
理由18■ウクライナvsロシアのサイバー戦争から何を学ぶか
・サイバー空間での攻防
・オンライン演説行脚
・対策は?
第七章 デジタル社会の海図
理由19■日本は大丈夫か
・日本のサイバーセキュリティの現状は?
・デジタル人材の育成は進むのか
・移民受け入れで「開国」要求
理由20■われわれは何を信じ、どこまで関わるべきなのか
・信用できるネット社会
・ベースレジストリに漏洩の恐れはないのか
・法令データ検索
・岸田政権が掲げたデジタル田園都市構想のゆくえ
あとがき デジタル管理社会は日本人を幸せにできるのか