岡崎慎司と内田篤人の共通点 「サッカー選手の成長」とは
「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦
プロに入って変わる「成長」の意味合い
しかし、プロに入ると「成長」の意味合いが少し変わります。プロに入るまでの「成長」が、自分が持っているものを増やしていくことだったのに対し、プロに入ってからの「成長」とは、それに加え、自分が持っているものを試合の中で表現できるようになることに変わります。
それはより詳しく言えば、「今できることの整理」と「“具体的に”できることを増やすこと」になります。
つまり、ただ漠然とサッカーを頑張っていればサッカーがうまくなる時代は終わり、より具体的に、自分のプレーの表現の仕方を考えていかなくてはいけないということです。
岡崎選手に当てはめて考えてみると、彼がしてきた「今できることの整理」とは、エスパルスで試合に出始めたとき、エスパルスで定着し始めたとき、日本代表に選ばれるようになったとき、日本代表でエースになったとき、ドイツに行ったとき、ドイツに慣れてきたとき、ドイツで結果を出せるようになってきたとき、イングランドに行ったとき、という風に(区切るともっと細かく区切ることができますが)段階を追いながら、その時点の自分に何ができるか、どんな選択をすべきかをしっかりと整理し、そして自分で判断をしてプレーしてきているということです。
そして、その今置くべきバランスを調節しながら、同時に、将来にわたっては「相手の裏を取るタイミングやスピードを上げること」、「ボールを収めること」、「ターンすること」などと、“具体的に”自分にできることを増やしていく努力を重ねてきたように見えます。
例えば、先のアフガニスタン戦で見事なターンからのゴールを決めたのは皆さんの記憶にもあると思いますが、僕のイメージの中の岡崎選手はこうしたプレーを以前からしていたわけではありませんでした。きっと新たな壁と向き合いながら、プレーの幅を広げていくために練習などで意識して取り組んでいたのでしょう。具体的にできることを増やしたことで、これまで整理していた「今できること」にまた一つ武器を増やしたわけです。
その結果、周りで見ている人からは、「岡崎選手はプロに入って誰よりも成長した」と言われるようになったのだと思います。
これは岡崎選手だけでなく、僕が出会った、プロに入って伸びていく選手の共通点とも言えるかもしれません。
印象深いのは、内田篤人です。