野球に生きた「芸人としての経験」
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記〈15〉
優勝争いのなかで、僕がチームに貢献できること。それは芸人として得たもの。
◆何度もスベッた経験が生きる
簡単ではないけれど、練習をしながら少しでもそのヒントをつかみたいと思っている。
メンタルに関して言えば、芸人として20年近くやってきたことが役立っていることもある。それは、失敗に対する考え方だ。
若手のころ、僕は何度もスベッた。いまでもときにはスベることがあるのだけれど(笑)。
ただ若い頃といまとで違うのは、若い頃はスベッた後、何日もそれを引きずり、落ち込み、寝ることができない日々が続くようなこともしばしばあった。でも、いろいろな舞台を経験していくうえで、それではいけないと思うようになった。くよくよしていては、成長することができない。そう考えたのだ。
いくら振り返ってもスベッたという結果は変わらない。
そこで悩む時間があるのであれば、変えることができる未来に対して時間を使ったほうがいい、そう思えるようになった。それからは、少しずつだけど芸人としても成長することができたように思う。
だから、前回の登板のように失敗をしてしまっても、悔しい気持ちはあるけれど、それを引きずり過ぎることはなくなった。そして次のピッチングで絶対に取り返せるよう、いまなにをすべきか考えられるようになった。
こうしたことは、もしかしたら若い選手が多いチームに伝えられることもかもしれないと思っている。独立リーグには、ここで初めて社会人を始めた人も多い。だからミスをしたり、打てなかったりしたとき、僕が若手のころのように眠れなかったり、落ち込んだりして前を向けないことがあるのだろうと思う。そういう人たちには声を掛けて、切り替えようよ、というようなことを意識して伝えたいと思って過ごしている。
緊張感のある優勝争いのなかで、そうした部分でも少しでも貢献できればな……これがいまの僕の思いだ。でも、やっぱりもっといいピッチャーになってマウンドで貢献したいけれど。
では、また次回。優勝の報告ができるといいなあー。しつこいけれどぜひ、応援に来てください!