統一教会が「不世出の政治家」と称える「安倍晋三の正体」【適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第43回
統一教会総裁・韓鶴子が、
■統一教会と安倍晋三の深い関係
統一教会は安倍晋三銃撃事件から1年となるのに合わせ、公式サイトで声明を発表し、安倍を「不世出の政治家」と礼讃した。
*
統一教会総裁・韓鶴子の「岸田に教育を受けに来いと伝えよ」「日本の政治は滅びるしかない」といった発言も話題になっている。「不世出の政治家」がいなくなったので、相当焦っているのだろう。
*
岸家・安倍家と統一教会は長年深いつながりがあるが、特に第二次政権以降、安倍は統一教会に急接近していった。先日、「安倍さんと統一教会の関係を示す証拠は一つもない」という趣旨のツイートを見かけたが、人々の記憶が薄れていくに乗じて、デマゴーグの類が歴史を捏造していく。
*
先日、私は『安倍晋三の正体』(祥伝社)という新書を上梓したが、そこでタイトル通り、安倍の正体を示して置いた。統一教会の関係についても、何度も振り返っておく必要がある。本書から一部を抜粋して紹介する。
*
2021年9月12日、安倍は天宙平和連合(UPF)が韓国で開催したイベント「THINK TANK 2022希望の前進大会」にビデオ登壇し、団体への賛美と総裁の韓鶴子を礼讃するメッセージを送った。
「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します。偏った価値観を社会革命運動として展開する動きを警戒しましょう」
UPFは統一教会の開祖である文鮮明と妻の韓鶴子が2005年にニューヨークで創設したNGO組織である。つまり、安倍は自分が統一教会の価値観と同じであることを表明し、敵を「警戒しましょう」と共闘を訴えたのだ。
統一教会は霊感商法などで問題を起こしてきた反日カルトである。文と岸信介は盟友関係にあり、岸の力添えにより、1968年に教団系の政治団体「国際勝共連合」が設立された。(『安倍晋三の正体』)
*
全国霊感商法対策弁護士連絡会は2021年9月17日、安倍が統一教会の広告塔となり、他の多くの議員らもカルト勢力の活動にお墨付きを与えていることを憂慮し、安倍に公開抗議文を送付した。しかし、安倍の国会事務所は受け取りを拒否。山口県内にある地元事務所の返答もなかった。
同連絡会の山口広弁護士は「安倍政権になってから若手の政治家が統一教会のイベントに平気で出るようになった。それまでは政治家が参加しても名前は出さないとか、統一教会側も名前を伏せて『衆議院議員が参加してコメントした』と言っていたが、最近は若手の政治家が大手を振って参加してコメントするようになった」と語っている。
さらにその理由について次のように述べている。
「統一教会と近いと分かった政治家は、安倍政権で大臣や副大臣、政務官に登用される傾向が顕著になった。大臣や政務官に登用されるためには、統一教会と仲良くし、協力関係にあった方が、早く出世できるという認識が(政治家の中に)浸透し始めたのです。これはマズいということで、全国会議員に『統一教会と協力関係になるのはやめてください』と要望しました。それぐらい、安倍さんが統一教会と仲良くすることに開き直るというか、顕著なものがあり、憂慮していました」
同連絡会の弁護団は、第二次安倍政権が発足した2012年12月以降、それまで相次いでいた教団関与の刑事事件が極端に減ったことをあげ、教団に対する警察捜査に安倍政権が政治的圧力をかけていた可能性に言及している。(同前)
*
安倍の地元事務所には統一教会関係者が出入りしており、安倍は統一教会票の割り振りにも手を染めていた。元参院議長の伊達忠一は《安倍さんに「統一教会に頼んでちょっと(票が)足りないんだウチが」と言ったら「わかりました、そしたらちょっと頼んでアレ(支援)しましょう」ということで》と自身に近い議員のために統一教会の組織票を回してもらうよう安倍に依頼したと証言した(「北海道テレビ放送」2022年7月29日)。
- 1
- 2