布袋寅泰や手越祐也とのお騒がせ交遊も。国民的未亡人・安倍昭恵について考える【宝泉薫】
◾️安倍政権の長期化も彼女なしではありえなかった
また、夫は政治家一族の出とはいえ、祖父や父たちのように東大法学部卒業のエリートではない。若い頃はどこにでもいる二世三世のお坊ちゃん政治家みたいな雰囲気もあった。そんな男が史上有数の政治家になっていけたのは、妻のおかげでもあるはずだ。
実際「家内がほめてくれると勇気が出る」とも言っていて、妻から活力を得ていたことがうかがえる。子供ができないことを後援会からとやかく言われても、彼は養子縁組や離婚といった選択をしなかった。初デートに50分も遅刻してきたり、フラダンスにハマれば仕事で疲れて帰ってきた夫にもそれを披露せずにはいられないほどマイペースなアッキー。そんなところが彼にはけっこう居心地がよかったのだろう。
そういう意味ではやはり、安倍政権の長期化も彼女なしではありえなかった。ちょくちょく足を引っ張るように見えて、ちゃんと下から支えていたともいえる。
なお、伊藤博文の妻・梅子や原敬の妻・浅、東条英機の妻・かつ子のように、悲劇的な最期を遂げた夫を見送った日本のファーストレディは他にもいる。ただ、昭恵のように長年、コメディエンヌ的にも見えていた人がそうなってしまったことに、いっそうの哀しみを覚えるのである。
彼女は史上最も悲劇的なファーストレディなのかもしれない。
文:宝泉薫(作家・芸能評論家)