生涯一人か……そんな思いとコロナが引き金になり、60歳を目前に婚活アプリに時間とエネルギーを注ぐことを決心した【石神賢介】
人生の節目〜39、49、59歳は〝婚活発情期〟
◼️39、49、59歳は〝婚活発情期〟
筆者も一人暮らし。32歳で結婚。33歳で離婚。その後28年はずっとシングルで還暦を迎えた。生活は毎朝起床してすぐにパソコンで原稿を書き始め、一人で食事をして、また原稿を書き、夜は食事をしてまた原稿。
食事は還暦を迎えてから改善したが、長い間ろくなものを食べていなかった。レトルトカレーやカップ麺ばかり。ビタミンはサプリメントと市販の青汁ドリンクで補給していた。
仕事の連絡はメールやLINEが主。とくにコロナ禍は誰とも会話を交わさない日も多く、ちょっとしたシェルターにいる気分だった。
そんな生活の就寝前30分ほどが婚活タイムだ。交際を申し込んだ女性とマッチングが成立していないか。マッチングした女性からメッセージが届いていないか。そんな期待で童貞の中学生に戻ったように気持ちを高ぶらせ、パソコンやスマートフォンで婚活アプリを開く。
40歳、50歳、60歳……。人は年齢の節目が近づくと結婚を意識する。39歳、49歳、59歳は〝婚活発情期〟だ。このまま一人で40代を迎えるのか、50代を過ごすのか――と、あせる。食事の後に駐車場でいきなりブチューと来た看護師さんもきっと婚活発情期だったのだ。
筆者も40代の後半に猛烈に婚活を行った。婚活パーティーに通い、婚活アプリも利用し、成果が上がらずに50代に突入した。
再び婚活アプリに時間とエネルギーを注ぐようになったのは、頭にも鼻の穴にも下腹部にも白い毛が目立つようになった50代後半だ。
生涯一人か――。
60歳という節目を目の前に不安になった。50代半ばは、シングルであることをそれほど意識していなかった気がする。60歳を目前にしたこと、コロナ禍で自宅にこもる時間が増えたことが引き金になり、婚活アプリの登録を決めたのだ。
(最新刊『婚活中毒』より 抜粋)
文:石神賢介