小劇場はコロナ禍をどう乗り越えたのか? 「エンタメ不要不急」と言われた3年間【中村未来】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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小劇場はコロナ禍をどう乗り越えたのか? 「エンタメ不要不急」と言われた3年間【中村未来】

吉祥寺櫂スタジオ

■客足はコロナ禍の前の3〜4割まで回復

 

 緊急事態宣言が発令された時点ではどこの劇場も軒並み休業していたが、解除されてからの動向についてはさまざまだった。劇場によっては緊急事態宣言が解除された直後に営業を再開させたところもあった。丸1年の休業はほかの劇場に比べると「かなり慎重」だったと真坂氏。「劇場によって考え方はそれぞれ」と前置きした上で話す。

  「私たちはコロナ禍での営業方針は、スタッフ全員で話し合って決めるようにしていました。誰かが『もう平気じゃないか』と言っても、ほかのメンバーが『まだ危ない』と意見すれば、そこで一旦話し合い、全員が納得する答えを出します。ほかの劇場と比べて、再開までに時間を要したのはそのためです。そこまで慎重だったからこそ劇場から感染者を出さずに済むことができたのかなと思います」

 

吉祥寺櫂スタジオ

 

  通常の営業を再開した今、客足はコロナ禍の前の3割〜4割まで回復した。

  「3割というと少なく感じられるかもしれませんが、私たちにとっては予想通りの数字です。今後も何が起きるかわかりませんから、ゆっくり元に戻していきたいと考えています。なので客席もまだ100%にはしていないんですよ」

  3年間を取り戻すにはまだ時間がかかる。それでもこの期間は無駄ではなかったと語る。

  「現実問題、コロナによって亡くなられた方が大勢います。いろいろな意見がありますが、感染対策も必要なことだったと私自身は考えています。ただ、エンタメが不要かというとそうは思いません。衣食住に関わるものではないのはたしかですが、エンタメがもたらす“感動”も、人が生きるうえでなくてはならないものです。前向きに捉えるとすれば、コロナ禍ではそういったことを改めて考え直すきっかけになりました」

  小劇場のあり方について、真坂さんは「とにかく人と場所」と語る。

  「人と場所さえあれば、演劇活動はなくなりません。皆さんが安全に演劇活動を続けられるよう、私たちはこれからも“場所”としての劇場を守っていくつもりです」

  再スタートを切った小劇場のこれからを見守りたい。

 

文:中村未来

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中村未来

なかむら みく

ライター

1988年生まれ。玉川大学芸術学部卒業。学生時代からライター業をはじめ、書籍や雑誌、パンフレットなど、ざまざまな媒体で執筆。現在は演劇をはじめとしたエンターテイメント関連の取材執筆が中心。ライター業とともに、舞台やラジオなどのシナリオライターとしても活動中。

■個人サイト『演劇ライター中村未来の長竹ノーバン!』

https://nagatake-nobound.com/

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