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渋谷・道玄坂の地名の由来は盗賊・山賊から!?

東京を代表する繁華街・渋谷の意外な地名の由来とは!?

 渋谷というところ、よほど盗賊に縁があるらしく、これまた盗賊由来の地名の話。

   

だれも気にもとめない道玄坂の碑

渋谷駅から西のほうに緩やかに上っていく坂は道玄坂です。
  この通りは赤坂方面からくる青山通りの続きで、山手線の下をくぐり、駅前を突っ切ってつながっている道です。
   このルートは江戸時代から相模国に抜ける重要な幹線道路で、大山(おおやまみち)道とか矢倉坂(やぐらざか)往還と呼ばれていました。
  この坂に昔道玄という山賊がいて、その人物の名前からついたというのです。

 道玄という人物は和田義盛の一族で、建保元年(一二一三)五月の反乱で滅亡し、その残党としてこの坂の岩屋に隠れて山賊をしていたという話。
    道玄坂を上りつめたあたりに、道玄坂の碑が集められている。歌人与謝野晶子は新婚生活をこの道玄坂の近くで過ごしたとのことで、歌を残しています。

   母遠(とお)うて瞳(ひとみ)したしき西の山

   相模(さがみ)か知らず雨雲(あまぐも)かヽる

 あのにぎやかな渋谷の町が盗賊や山賊にちなんでいるとは思ってもみないでしょうが。

 こんなことを考えながら歩いていると、まるで場違いのような気がしてきます。

『東京・江戸地名の由来』より

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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