若いうちから先々も稼げる準備 「鶴太郎流」 に学ぶ “好き” を仕事にする方法【松野大介】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

若いうちから先々も稼げる準備 「鶴太郎流」 に学ぶ “好き” を仕事にする方法【松野大介】

先を見通しながら、臨機応変に時代を乗り切っていくレッスン


 鶴太郎といえば20~40代には渋い役者、ヨガにのめり込んでる人、インスタでのファッショナブルな「イケオジ」まで様々な印象がある。先日刊行され、売れ行きを伸ばしているという片岡鶴太郎『老いては「好き」にしたがえ!』(幻冬舎)で構成を務めた元芸人の作家、松野大介氏は「先々を見越す点で、現役世代にも学べるものがある」と言う。
 仕事に関する3つのノウハウを語ってもらった。


片岡鶴太郎

(1)「まだ若い」「今調子いい」現状に甘んじない

 若い世代には大昔の88年、鶴太郎さんは芸人の絶頂期に周りの反対を押し切りプロボクサーのライセンスを取得しました。当時は「オレたちひょうきん族」や冠番組「鶴ちゃんのプッツン5」などレギュラー多数の30代の超売れっ子芸人。
 なのに「先を見て、自分を変えて、本格的に役者転向する」と一念発起し、ボクシングジムへ。なぜ自己改革の手法がボクシングなのかの説明は長くなるのでしませんが、事務所には大反対されました。せっかく売れてるのに仕事をセーブして練習すること、痩せて筋肉質になるとポッチャリした鶴ちゃんのイメージがなくなってしまうことが主な理由です。
 そんな声を聞かず、リスクを背負い、短期間でプロテストに合格します。その後、痩せた見た目でシリアスな役者に転向するのですが、私が驚くのは、ボクシングを始める前も大ヒットドラマ「男女7人夏物語」シリーズで役者業をやっていることです。絶頂期で、ポッチャリした鶴ちゃんのイメージでドラマにも出られているなら、仕事をセーブしてボクサーにならなくても役者に転向できるだろうと考えるのが普通です。
 しかし鶴太郎さんははっきり断言しました。
「あのままバラエティーに出続けてブクブク太り続けていたら、私はタレントとして完全に終わっていたでしょう」

 私が前に書いたコラム「生き残るタレント」「消え去るタレント」その違いは何か? 元芸人のインタビュアー作家が見た生存競争の現実
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/1901478/
 にあるように、ビートたけしさんにしても誰でも長く仕事をする人は変化してます。
 鶴太郎さんの出現以降、80~90年代には「鶴ちゃん風」の、小太りで派手な服装でカメラに近づきドアップで「○○で~す!」と絶叫する芸人が何人も現れました(イジリー岡田がわかりやすい)。が、そのほとんどは何も変化せず、飽きられた時点で世代交代させられました。
「まだ自分は若い」「今調子いいから」という現状に甘んじず、先を見越して自分を変えていく。これは芸能だけではなく、あらゆる仕事に共通すると思います。自分を変えると、やれる仕事も変わる。プライベートでも、やれることや付き合う相手が変わってきますし、幅が広くなりますね。

次のページ「仕事を持ちながらも、好きなことを3年先に仕事にする」

KEYWORDS:

オススメ記事

松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

老いては「好き」にしたがえ! (幻冬舎新書 695)
老いては「好き」にしたがえ! (幻冬舎新書 695)
  • 片岡 鶴太郎
  • 2023.07.26