日本人の20人に1人は「隠れアスペ」!? 見過ごされがちなグレーゾーンの悩み【吉濱ツトム】
「隠れアスペ」はなぜ気づかれないのか?
◾️長所を伸ばすためには、まず最初に短所を抑える
「問題児」「社会のお荷物」「非常識」「かわいそうな人」……アスペルガーに対する世間のイメージは、このようにネガティブなものばかりのようです。これは、アスペに関する専門書などにマイナスの症状(短所)しか書かれていないためでしょう。マイナスの症状が強い「真性アスペ」しかアスペルガー症候群だと診断されないので、アスペといえば「生まれつき障害という十字架を背負ったかわいそうな人」と思われているのです。
しかし実際は、アスペにはプラスの症状(長所)も驚くほどたくさんあります。特にアスペの中でも多数派の「隠れアスペ」は、長所が多くて短所が目立たないという、一見「アスペらしくない」特徴をもっています。アスペの長所は、仕事に生かせる能力のこともあれば、人間的な魅力のこともあり、「定型発達」(発達障害ではない、普通の人)と比べても際立っています。その長所を伸ばせば、隠れアスペは社会の財産になり得るのです。
ただし、長所を伸ばすためには、まず最初に短所を抑えることが必要です。アスペの短所は、せっかくの魅力的な長所を覆い隠すゴムシートのようなもの。これを抑えた上で長所を伸ばす方法は、まだほとんど知られていません。そもそも、アスペに素晴らしい才能があることも、才能あふれる隠れアスペという存在も、まったく認知されていません。このことが周知されれば、「アスペルガーは十字架ではない」ことが、もっと多くの人にわかっていただけるはずです。
隠れアスペなら、真性アスペと比べてマイナスの症状が弱く、その種類も少ないので、改善させるのは比較的容易です。的確な方法を用いさえすれば、6~8割の症状は大幅に軽減することができます。
そして、アスペルガー人はいったんスイッチが入ったら猛烈な継続力を発揮しますから症状を改善しやすい。隠れアスペなら、なおさら結果が早く出ます。
隠れアスペにとっては、アスペであることはマイナス面よりプラス面のほうが大きいものなのです。スペルガーであること自体が才能だと僕が言うのは、こういう理由からです。そんなアスペの魅力を、本章ではたっぷりとお伝えしていきます。