言葉を軽視し、国家を破壊した安倍政権 中国の属国になる日は近い!?【池田清彦×適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第46回 :『安倍晋三の正体』をめぐって(対談後編)【池田清彦×適菜収】
■昔の自民党と今の自民党は別物
適菜:自民党がここまでおかしくなった原因は、やはり1994年の小選挙区比例代表並立制の導入と政治資金規正法の改正にあると思います。小選挙区制度は、二大政党制に近づきます。死票は増え、小さな政党には不利に働く。そこでは基本的に上位二政党の戦いになります。政治家個人の資質より党のイメージ戦略が重要になるので、ポピュリズムが政界を汚染するようになる。また、党中央にカネが集まるようになったので、権力が集中した。結果、党内における活発な議論や合意形成、派閥抗争がなくなっていき、党の中央だけでいろんなことを決めてしまうようになってきた。その方針に逆らえば、小泉政権のときのように刺客を送られたり、公認をもらえなくなる。自民党の中にいた少数の保守勢力も追放されましたね。そういう形で自民党はどんどんカルト化していきました。
池田:国民も小選挙区制になれば、政権交代で日本がよくなるというデマに騙された。あれにより、ほんのわずか右にふれたら右、左にふれたら左みたいな話になってしまった。小選挙区制は、日本の政治風土を破壊した最悪な改革だったね。小泉純一郎も人を騙すのがうまかった。構造改革、郵政民営化でよくなったことは一つもない。
適菜:一番悪いのは小沢一郎だと思います。小沢は安倍政権批判をしていて、そこは同意できる部分もあるのですが、根本を辿っていくと、小沢とその取り巻きによる新自由主義的な発想が、安倍政権に行き着いているのです。結局、小沢の自民党破壊、政治制度改革を含む「日本改造計画」が、いまだに日本社会を蝕んでいる。細川護熙の裏にいたのも小沢ですからね。
池田:小選挙区制と世襲議員が増えたのはパラレルになっている。昔の議員は池田勇人にしても京大を出て、大蔵省の次官になって、首相になるというコースがあったわけだけど、それが完全に崩れた。今はできそこないのボンボンが首相になる。
適菜:先生はテレビでも安倍批判をされていたんですね。
池田:結構している。でも批判してもあまり放映されないんだよ。生放送ではないからカットされてしまう。自民党の支配が続いたのは、大手メディアを優遇して自分たちの悪口を言えないようにしたのが大きい。NHKからして根本的なことは言えなくなった。
適菜:私も朝のラジオ番組で毎回安倍を批判していたら、お呼びがかからなくなりました。
池田:本とか講演とか他に稼ぐ手段がある人は政権を批判できるけど、テレビだけで仕事をしているタレントさんだと言えない。大手メディアでは政権批判すると干される構図になっていた。
適菜:逆に安倍を礼讃するとカネになる時代が続きました。自称保守向け月刊誌に安倍が登場した回数を見れば、その異常さがわかります。安倍の取り巻き連中も、おとなしくなるどころか暴走しています。元NHKの岩田明子は安倍は「光の人」であり、安倍がいると雨が降らなくなると言い出した。ここまでくるとカルト信者ですね。
池田:病気だよ。安倍が統一教会と仲がいいのもわかる。
適菜:エリック・ホッファーがベルクソンの言葉を引用していましたが、「信仰の強さは山を動かすことによって示されるのではなく、たとえ山が動いたとしてもそれを見ないことによって示される」と。まさにこれですね。安倍と統一教会の深い関係が次々と明らかになっても、信者はそれを無視することにより、ますます深い迷妄の中に落ちていく。世間だって、安倍の悪事をすぐに忘れてしまう。