言葉を軽視し、国家を破壊した安倍政権 中国の属国になる日は近い!?【池田清彦×適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第46回 :『安倍晋三の正体』をめぐって(対談後編)【池田清彦×適菜収】
◾️国家という前提がなかった安倍政権
池田:適菜さんは日本はこの先どうなると思う?
適菜:堕ちていく一方かなと思います。そう言うと「暗いことを言うな」「もっと建設的なことを言え」という反応がありますが、世の中には取り返しのつかないことがあります。生命だって一度失われれば元に戻ることはありません。それが幼児にはわからない。甘ったれているので、一度壊してしまい、またつくりあげればいいと安易に考えている。しかし、この30年にわたり、改革のバカ騒ぎで国や社会を壊してきたツケが、安倍政権に行き着いたのです。
池田: 大企業のトップが国力を上げることを放棄しているからね。とりあえず儲けて短期的な利益を上げればいい。外資に媚びようと、中国に土地を売ろうと何でもいいって奴が多くなっている。僕なんかもう少しで死ぬからいいけど、カタストロフィーが起きて堕ちるところまで堕ちないとどうにもならない。どこまで堕ちるかだよね。半分以上の国民が明日食うものもなくなったら暴動が起きるだろうけど、その時には「安倍的なもの」を引きずってもっと大変なことになるかもしれない。目の利く若い人は日本から離れていくかもね。それでますます日本にはバカばかりが残る。暗い未来しか見えない。
適菜:自民党は経済界の要望に従って、急進的な移民政策を進めてきました。最近はコンビニの店員に日本語が通じなかったりする。だからこのまま行けば、日本という概念、公共という概念自体が消滅してしまうかもしれないですね。
池田:急激に外国の人が来て働けば、当然文化の違いがあるし、コミュニティを形成するからあちこちに中国人街ができたりする。そうなると、国土は日本だけど文化とか伝統はなくなっちゃう。
適菜:安倍政権が徹底的に日本語の破壊を行ったのは、国家という前提がないからです。ヨーロッパで移民政策の失敗を反省する機運が高まる中、逆に移民政策にかじを切ったのが日本政府です。
池田:普通だったらヨーロッパの失敗を見てやめるんだけど、儲かることしか考えていない。でも結局は国力を高めないと儲からないんだけどね。
適菜:『安倍晋三の正体』に書きましたが、すでに国自体がぶっ壊れています。森友事件における財務省の公文書改竄、南スーダンPKOにおける防衛省の日報隠蔽、裁量労働制における厚生労働省のデータ捏造、入管法改定に関する法務省のデータごまかし、国土交通省による基幹統計の書き換え……。安倍政権下で国の信頼は完全に破壊されました。安保法制騒動では、国を運営する手続きが破壊されましたが、その際、首相補佐官の礒崎陽輔が「法的安定性は関係ない」と言い出した。これを近代国家だと考えるほうが無理があります。
池田:本当にそう思うね。日本は法治国家とはいえないよね。中国を人治国家とバカにしていたけどもっとひどいことになっている。
適菜:2017年には防衛相が「(南スーダンの戦闘で)事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、(日報で)武力衝突という言葉を使っている」と発言します。現役の閣僚が政府が憲法を無視していることを公言したわけです。日本の人治国家化は現在進行中です。
池田:そういう意味では適菜さんの『安倍晋三の正体』はもっと読まれるべきだね。