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SNSのデマや著名人の偏見にだまされないための思考法

齋藤孝さんの最新刊『使う哲学』より、日常に使える哲学の思考法を伝授します。

 

フランシス・ベーコン(1561〜1626)。イギリス生まれ。23歳で国会議員となり大法官まで出世。政治家、思想家として功績を残す。

 イングランド生まれのベーコンは「イギリス経験論」の創始者といわれます。ベーコンは人間の認識の根拠を理性ではなく、経験に求めました。「知は力なり」は、ベーコンのよく知られた言葉です。

 正しい知識を得ようとしても、偏見や先入観、思い込みが邪魔をすることがあります。こうした偏見や先入観などをベーコンは「イドラ」と呼びました。

 イドラには「種族のイドラ」「洞窟のイドラ」「市場(いちば)のイドラ」「劇場のイドラ」の四つがあります。

 「種族のイドラ」は、人間という種族に固有の偏見や先入観で、人間が生来持っている感覚などによって生じます。

 たとえば、地動説と天動説のどちらが正しいか。私たちの感覚からすると、どう考えても、天動説のほうが正しいように思えます。感覚的には、太陽や月などの星が地球の周りを回っているように見えるからです。

 「洞窟のイドラ」は、狭い洞窟の中にいるように、親の考えや担任の先生の教え、読んだ本などに影響を受けて形成される偏見や先入観です。

 たとえば、大金持ちの家に育った人は、毎週一回は高級レストランで家族で食事をするのが当たり前と思うかもしれません。あるいは、大学生になれば、自動車の1台や2 台、親に買ってもらうことは当然のことと思ったり。しかし、そうしたことは、今の日本で当たり前といえるようなことではありません。

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齋藤 孝

さいとう たかし

明治大学文学部教授。



1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。



250万部を超えるヒットとなった『声に出して読みたい日本語』シリーズ(草思社)のほか、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『大人の精神力』、『10歳までに身につけたい「座る力」』(いずれも小社刊)など著書多数。


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