記者のペンが止まった……
「取材対応」をとおして見える岡崎慎司の並外れた力
新刊「未到 奇跡の一年」を上梓した岡崎慎司。「取材者」が見た、そのすごさの秘密に迫る.
取材者の常識を覆した岡崎慎司の存在
具体的に言えば、プレースタイルへの考え方がそうだ。
運動量が豊富で「献身性」が高い評価を得る岡崎だが、それに対してポジティブに考えて試合に臨むことがあれば、まったく逆で「献身性」で評価されることを危険信号と捉えることもある。それは、考えに考え抜くことで「正しい」と思ったものに「疑い」を持つようになるためだ。
考える、という行為について岡崎はこう言う。
「今の理想は、試合中に何も考えずにプレーすることなんですね。でも、それをピッチで表現するためには、試合以外で徹底的に考えないといけないと思っているんで」
これまで、取材のペンが止まるときというのは、(キーワードが見つからない、とかうまくかみ合わない、といった)いい取材ができていないときだろう、と思っていた。
けれど、その考えは違った。
常識を覆すレスターの躍進、岡崎慎司の活躍。それに比べればとてもちっぽけなことであるが、岡崎の取材対応は我々の常識をも覆した。
親しみやすいキャラクターと泥臭いプレーだけではない、岡崎慎司のすごさの一端を垣間見た気がした打ち合わせだった。