玄冬の門をくぐったら、
孤独の楽しみを満喫する
元気に老いるための7つのすすめ【2/3】
5.趣味としての養生のすすめ
《楽しみのタネというのは誰にでも何かはあるものです。怠け者で、「俺は何も関心がない」と言う人にも、何かあります。その中の一つとして、養生というのも趣味としてはすごく大事なことです。私も養生はある程度していますが、義務としてでもなく、健康法としてでもなく、面白いから楽しみでやっています。
「転ばないように、どういうふうにするか」、「誤嚥をしないように、どういうふうにするか」、「腰痛にならないように、どういうふうにするか」とか、さまざまな視点があり得ます。
(……)
睡眠についても、年を取るとよく眠れなかったり、早く目が覚めたり、頻尿で夜中にしょっちゅう起きたり、いろいろしますが、どのようにして少しでもそれを楽なほうにもっていくか。それは工夫ですよね。それこそが養生です。横向きに寝たほうがよいのか、上向きのほうがよいのか。温かくしたほうがよいのか、冷やしたほうがよいのか。そういうことを一つひとつ実験していくと、興味は尽きません。自分の短い老後の時間がすごく充実して感じられると思います。
ブッダの寝ている図を見ると、右側を下にして横向きに寝ていますよね。私も横向きに寝ます。それは、睡眠時無呼吸症候群がちょっとあって、仰向けに寝ていると喉を圧迫して起きやすいからです。本当はうつ伏せがよいけれど、そうもいかないから横向きで寝ています。
枕は高いほうがよいか、低いほうがよいかとか、自分で工夫して、「ああ、やっぱりこのほうがいい」というように考えることは、すごく大事なことです。日常生活のディテールを大事にする。「神は細部に宿る」と言うけれども、小さな人生の些事というものを大事にする。
(……)
そういうことを面白がって実践する。「健康法」というのは健康のためにするもの。それに対して「養生」というのは楽しんでするもの、というふうに思っています。》 (続)