超高齢化下流老人社会で
どうなる日本の未来
2050年、日本は未曽有の超高齢化社会に!
曽野 まずできないと思いますけどね。
ロボットはどうでしょう。私はかなり希望をつないでいるんですけど。ベルトコンベヤーに乗っかってお風呂に行くと、服をパッと脱がして、ドボンとお風呂に入れてくれるくらいのことはできるでしょうから。その手のロボットは、最近は出てきていますよね。
近藤 野垂れ死によりは、機械的な形でもいいから生き永らえる道を選ぶという人は多いかもしれませんね。
曽野 でもね、心の問題があるでしょう? ロボットにやってもらって生きていくよりは、いい加減なところで切り上げたくなると思いますよ。
近藤 人はロボットに介護されてどこまで行きたいか。小説のテーマになりそうです。
曽野 『二〇五〇年』に書いたのは、40年以上も意識がないまま126歳まで生きている人の話。それを知った男が『医者が長寿記録を作るためにやってる』って腹を立てて、病室に侵入して、チューブを全部ひっこ抜くんです。
近藤 確かに、胃ろうを造ると意識がないまま10年以上生き続ける患者さんがいっぱいいます。
曽野 これから一番大切なのは、いやな話ですけど『年寄りをどう始末するか』っていう問題ですね。どうしたら穏やかに、比較的幸福に、不当な長生きをしないようにするか。もう始めなきゃいけないことですけど、国も医学界も何もやっていらっしゃいません。国だけじゃなくて、長寿に奔走したドクターたちにも責任がありますよ(笑)。」
近藤誠氏が話している、団塊の世代以降の人口の減少、そしてそれに伴う高齢者人口の減少の日まで、増え続ける高齢者の介護と死の問題は日本国民ひとりひとりが抱える喫緊の問題だ。果たして、どれだけの人が「野垂れ死にの覚悟」を決められるだろうか。(終)
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