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近鉄の観光特急「しまかぜ」

大人のこだわり「乗り鉄」の旅

 

名古屋駅を発車直後の「しまかぜ」

 

ゆったりした本革のシート

 

 

 名古屋から伊勢市まで、かねてから乗ってみたかった観光特急「しまかぜ」に乗ることができた。運がいいことに、直前にもかかわらず3席ほど残っていたのだ。

 乗ったのは、前から2両目(5号車)のプレミアムという座席。先頭車両のようなハイデッカーの展望車両ではないけれど、本革を使ったふかふかのシートは心地よい。リクライニングも窓のブラインドも電動式で高級感が漂う。通路をはさんで2人掛けと1人掛けのゆったりとした空間は、特急料金のほかにしまかぜ特別車両料金を払うだけのことはある。

カフェカー

 

注文した伊勢海老ピラフ

 隣の4号車はカフェ車両だ。今やテーブル席で温かい食事を摂ることのできる車両は希少価値なので、名古屋発車後、すぐにのぞいてみた。「一番乗り」だったが、この判断は正しかった。続々と乗客がやってきて、あっという間に満席となってしまったからだ。昼食には、ちょっと早い気がしたが、珍しく早起きしてお腹が空いていたので、沿線の名物といわれる伊勢海老のピラフを注文した。窓を向いたテーブル席は、相席になることもなく、車窓を眺めながら食事ができるのが魅力だ。温かいご飯と伊勢海老をほおばっているうちに、「しまかぜ」は木曽川、長良川、揖斐川という3つの大河を豪快に渡って三重県に入り、桑名を通過する。

 食事後、そのまま席に戻らないで、車内をみてまわる。3号車は、グループ席車両。ドアのある洋風と和風のコンパートメント(個室)、その奥は、ドアのないサロンと呼ばれる6人掛けの向い合わせ席だった。ひとつの区画は空席だったので、ちょっとだけ入りこんで写真を撮ったりした。

しまかぜグッズあれこれ

 その先の2号車、1号車は、5号車、6号車と同じなので、自分の席へ戻る。先ほどのカフェ車両を通り過ぎる時に、売店が目に停まったので、思わず、「しまかぜ」グッズの大人買い。先頭車両(6号車)の運転台後ろをちょっとだけ冷やかしたあと、席に戻ると、アテンダントさんが、乗車記念証を届けてくれた。これもグッズのひとつとしてコレクションに加わった。

 近鉄四日市に停まったあとは、伊勢市までノンストップ。四日市の工場地帯を過ぎれば、あとは広々とした平野を駆け抜けていく。アーバンライナーが停車する県庁所在地の津も通過。伊勢中川の直前では、大阪方面へ向かう短絡線が分かれる。

 伊勢中川で大阪線と合流すると、山田線に入る。相変わらず気持ちよいスピードで駆け抜けていく。右手にJR紀勢本線の特急「ワイドビュー南紀」が名古屋方面へ走っていくのに遭遇すると松阪。本当はここで下車したかったのだが、「しまかぜ」は通過である。伊勢市駅到着後折り返すことにする。

伊勢市に到着した「しまかぜ」

 車内放送があったので、はやくも伊勢市駅到着かと思ったら、珍しく車窓案内。伊勢神宮と関係のある斎宮跡が線路際にあるためだった。

 ほどなく、宮川を渡り、スピードを落としながら市街地に入ると伊勢市駅到着。もっと乗っていたかったが、賢島まではまたの機会に乗ることとしてホームに降り立つ。1時間15分の旅は、あっという間であった。

野田 隆

のだ たかし

1952年名古屋生まれ。日本旅行作家協会理事。早稲田大学大学院修了。 蒸気機関車D51を見て育った生まれつきの鉄道ファン。国内はもとよりヨーロッパの鉄道の旅に関する著書多数。近著に『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』『シニア鉄道旅のすすめ』など。 ホームページ http://homepage3.nifty.com/nodatch/

 

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