「自分自身を大切にするとはどういうこと?」自分を軽んじ蔑ろにしてきた私が今語れること【神野藍】
神野藍「 私 を ほ ど く 」 〜 AV女優「渡辺まお」回顧録 〜連載第27回
【失望させていけないのは他者よりも自分自身】
そうなると、自分自身を大切にするとは何なんだろうか。私なりの答えは「私がわたしにとって一番誠実な人であり続けること」、もう少し具体的に表現するならば「自分で決めた〈わたしとの約束〉をきちんと守り、それをこつこつと積み上げていくこと」、そのように結論付けている。
最初のうちは自分の身の回りにおける小さなこと、例えば「毎朝〇時に起きる」とか「お昼は絶対これを食べよう」みたいな簡単な約束を必ず守るようにする。そのうち小さな約束が積みあがっていくうちに、きちんと継続できていることが自分への信頼や自信へと繋がり、最終的にはそれが大きなことに挑戦するときの力の源となるはずだ。きっと他者を大事にするとなったときの具体的な行動も、「信頼を裏切らない」とか「相手を尊重する」が思い浮かぶと思うが、それとさほど実践することは変わらないと思っている。
長く続けているため普段の生活ではあまり意識することはないが、「あ、なんかバランス崩れてきたな」と思ったら、注意深く見直すようにしている。大抵はどこか生活に綻びが生じてきて、自分をいい加減に対応した証拠を見つけられる。 私の場合は忙しさにかまけて適当な食生活になっていたとか、運動する時間をとれていないとかが原因となる場合が多い。
他者や何かの事柄を大切に思うのも必要なことではあるが、自分を蔑ろにしてしまっては本末転倒だ。失望させていけないのは他者よりも自分自身で、きちんとした愛情を注がないといけないのも自分自身だ。もちろん物質的なもので甘やかすのも一つの手だと思うが、ただのその場の荒療治に過ぎない。私と長く付き合っていく上で、大事なものを見誤ってはいけない。
だからこそ、今日も私は私との約束を積み重ねて生きていくのだ。
(第28回へつづく)
文:神野藍
※毎週金曜日、午前8時に配信予定
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