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札幌では飲み会の後に「シメパフェ」をする! いま再注目のパフェの魅力を真剣に考えてみた

現在観測 第35回

パンケーキ、かき氷、アサイーボウルなど、次々とブームが起こるスイーツ業界。昭和初期には登場したと考えられる「パフェ」は当時、庶民はめったに口にすることができない高級品であったが、数十年の時を経て、現在はファミレスやコンビニなど、気軽に手に取れる存在となっている。「パフェは食べ物ではなく、究極のエンターテインメントである」と語る、パフェ評論家の斧屋(おのや)さんに、知れば知るほど奥が深いパフェの魅力についてご寄稿いただいた。

◆パフェにしかない3つの魅力

甘くて冷たくて、夏にぴったりのおいしいパフェ。その魅力をさまざまな角度から徹底的に分析してみた。

 パフェの魅力とは何だろうか。ここでは、それぞれ互いに連関する三つの魅力を説明していきたい。

1.物語性
 パフェの多くは背の高いグラスに入っており、層を成していて「順番」があるというのが他のスイーツにはない特徴である。順番があるということは物語のごとく、起承転結の展開をつけられるということで、パフェごとに異なるその物語を楽しむ、というのが醍醐味となる。
2.五感で楽しめる
 見た目の美しさはもちろんのこと、香り、味、舌触りや食感。シャリシャリ、サクサクとした音まで、多様性に満ちた構成物が五感を刺激してくれる。パフェは「振り幅」が大事で、たとえば酸味、甘み、苦みというような振り幅があり、色のコントラストがあり、香りの移り変わりがあり、食感の変化がある。
3.その場でしか食べられないライブ感
 アイスはもちろんのこと、果物も、また他の食材も時間とともに変化する。アイスは溶け、果物は鮮度を失い、コーンフレークは水分を吸えば食感が変わってしまう。だからこそ、パフェは作り立ての状態で、その場で食べる必要がある。言い換えれば、パフェは、すべてを最もおいしい状態で食べることのできるスイーツなのだ。

 さらに言うなら、パフェには何でもありの面白さがある。パフェは、ごほうびのイメージがありながら、チープなイメージも併せ持つため、誰でも新しくメニューを作りやすい。アイスやホイップクリームや果物などを入れておけばひどくまずいということにはならず、また調理をするものでもないので、誰でも作れるし、食べ手も必ずしもおいしさを期待しない。ジャンボパフェや、動物やアニメのキャラクターを模した「キャラパフェ」など、インパクト勝負のメニューがあるのも、パフェの面白さである。

◆パフェの現代性

 さて、パフェと現代文化の親和性について考えてみよう。
 Twitter、instagram、facebookをはじめとするSNSにおける、コミュニケーションツールとしての画像の重要性は言うまでもない。そこにおいて、パフェの画像の引きの強さは際立っている。ビジュアルの美しさ、形態の多様な魅力(パフェにおいてはグラス形状もポイントである)は、多くの人に向けて拡散され、共有される。パフェは五感で楽しむものだが、その中でもやはり見た目の美しさ、かわいさは、複製可能な強い魅力としてオンライン上に拡散する。

 一方で、複製技術の発達は、複製が難しいものの価値を逆に高めることにもなった。たとえば音楽においては、複製されたCDよりも生の演奏を体感できるライブの価値が高まるということになる。その場でしか体験できない娯楽を考えたときに、食はその最たるものであり、その中でもパフェは先述のように時間的な制約が強い。近年、パティスリーがイートインできる空間を用意し、パフェメニューを提供することが増えている。パフェは時間的制約を受ける代わりに、溶けるもの、形が変わるものを使うことができ、ケーキのように固定化する必要がないという大きな自由を手にしている。パティシエの方々は、その自由によって、パフェでしかできないことを次々と表現しているのだ。

次のページパフェと食べ手には「双方向にコミュニケーション」がある

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斧屋

おのや

著書『東京パフェ学』(文化出版局)でパフェ文化を考察し、注目を浴びる。パフェのレポートを雑誌やブログなどで発信している。2015年は年間365本のパフェを実食し、今年はそれを上回るペース。twitter(@onoyax)もぜひチェック。


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  • 斧屋
  • 2015.03.20