猛将・加藤嘉明の具足! 甲冑研究家の秘蔵品を公開!
名将甲冑大全 第6回
知られざる由来、隠されたエピソード、甲冑の見どころまで。甲冑研究家の伊澤昭二氏が門外不出!?の秘蔵コレクションをはじめ、全国に伝わる名将たちの甲冑を徹底解剖!
本品は加藤嘉明(かとうよしあき)所用と伝えられたもの。義昭は賤ヶ岳七本槍の1人、秀吉の朝鮮出兵の時は伊予松山城主、小山評定にも参加、晩年は会津40万石の城主として転封。
兜は鉄地六十二間の小星兜(こぼしかぶと)で、眉庇(まびさし)は眉と頬皺(ほおじわ)を打った内眉庇(うちまびさし)と天草眉庇(あまくさまびさし)の二重からなる。シコロは鉄地朱漆塗の一枚シコロが付く。前立(まえたて)は木製朱漆塗の蛇の目紋。面頬(めんぽお)は鉄地錆漆塗目の下頬形式。胴は二枚仏胴で、「羅(ら)」という網目状の織物を張り銀箔押にしている。
「羅」とは経糸(たていと)を組み合わせて網縒り(つなより)にしたもの。正面に黒漆で縁を金で蛇の目紋を大胆に描いている。草摺(くさずり)は裾板を熊毛植とし、正面草摺、射向の草摺を金箔押切付札に仕立て、正面を紫糸・射向を朱糸で毛引威(けびきおどし)にしている。他の草摺はすべて羅板を銀箔押で、白糸素懸威にした六間五段である。
袖は金箔押板物五段で、紫・朱・白・萌黄・紫の順で威した色々威で籠手(こて)と一体の仕付袖形式。佩楯(はいだて)は革製朱漆塗り板物で、蛇の目紋を一面に金箔押にしている。胴は特に小振りに仕立てられたこの具足は、華やかな色使いの中にあって、気品が見て取れる。
嘉明の若い頃に着用したものか。