詐欺容疑で逮捕された21歳〝頂き女子〟 涙の最終陳述で見えた彼女の〝気づき〟【神野藍】
神野藍「 私 を ほ ど く 」 〜 AV女優「渡辺まお」回顧録 〜連載第30回
早稲田大学在学中にAV女優「渡辺まお」としてデビュー。人気を一世風靡するも、大学卒業とともに現役を引退。その後、文筆家・タレント「神野藍」として活動し、注目されている。AV女優「渡辺まお」時代の「私」を、神野藍がしずかにほどきはじめた。「どうか私から目をそらさないでいてほしい・・・」赤裸々に綴る連載エッセイ「私をほどく」第30回。詐欺容疑で逮捕された21歳〝頂き女子〟 。彼女の最終陳述が〝私〟の心のざらつきにひっかかった・・・
【「大切な人に捨てられるかもしれない」】
ずっと一人ではなかった。そう気がついたのは少し時が経ってからであった。
ぽつぽつと縁が切れていく中、「こうやって孤独になっていくんだ」と勝手に思い込んでいただけで、私の周りには純粋な好意を持った善良な人間がきちんと存在して、彼らはしっかりと私の魂を繋ぎとめていたのだ。凍えてしまうような寒さのまっくらやみの海に落ちて、そこでずぶずぶと沈んでいかないように。
先日電車に揺られているときに、画面をスクロールして流れてくる話題をぼんやりと眺めていた。どれもこれも気が滅入るような話題で思わずため息をついてしまいそうになる。その中で、スクロールする指をぴたっと止めてしまうような記事を見つけた。
それは“頂き女子”と呼ばれる、色恋をかけたり、情に訴えかけたりして男性たちから大金を巻き上げる女の子たちに関することであった。以前歌舞伎町に通っていたころの顔見知りに、似たような手口で大金を巻き上げている女の子がいたのもあって、何となく動向は追ってしまっていた。
今回のニュース記事では逮捕された中の一人である、21歳女性の最終陳述の内容が詳細に記載されており、興味を惹かれて読み始めた。彼女は陳述の中で周囲の存在について繰り返し触れていた。
「私は孤独じゃなかった」
「大切な人に捨てられるかもしれないと思いました。でも、それは未然に終わりました」
彼女が発した言葉が私の心にある未だざらついている部分に引っかかる。一瞬なぜだろうなんて考えたけれど、すぐにその答えは見つかった。彼女が得た気づきと同じことを、私も同じように得ていたからであると。