〝学び直し〟で〝バージョン・アップ〟した自分を目指す愚かさ 「リカレント教育」の矛盾を突く【大竹稽】
「自主性」の大誤解を正す!
■「〝学び直し〟て〝アップデート〟せよ!」という提言を信じるバカ
経済産業省が、こんな資料を公開しています。
「『人生100年時代の社会人の基礎力』と『リカレント教育』について」と題が付されているこの資料には、あまりにも非情な提言がされています。
「付加価値を発揮し続けるためには、「一億総学び」社会の下で、絶えず学び直しを通じたアップデートや新たなスキルの獲得が必要不可欠」
まぁ、金儲けを企むビジネス野郎たちが好きそうな言葉が並んでいますね。彼らは煽ってきます。「付加価値」はあなたの責任でつけてください。国民は絶えず「学び直し」をして「アップデート」してください。なんて便利なフレーズなのでしょう。きっとこの提言を作った人物は、国民をパソコンかなんかと勘違いしているようですね。きっとこの人物の脳みそは、AIによってコントロールされているのでしょう。学びの意欲もないのに、「学べ!学べ!」。いや、「学び直せ!」なんて、人間の生の体験をなんだと思っているのでしょうね。
リカレント教育のコンテンツを受講するのもいいでしょう。しかし、敢えてこの権威を使い倒してやるくらいの、打算的な姿勢で臨めばいいのです。己の本質を自主性に据える人間は、何も用意されていなくても、勝手に学びます。たまたま探していたコンテンツがそこにあった。「役に立てようとも思っていない」、なんて破天荒な動機で受講してしまいましょう。全てが用意されていないと動けない思考奴隷の人間になってはいけません。そんな人間には、事あるたびに、「自分で決めたんだろ?」という必殺フレーズが襲うでしょう。
前回は、マインドフルネスという流行語にも触れました。これをビジネスにする人たちは、必ず個人のメンタルに注目します。こうして「マインドフルになれない人たち(なんでしょうね、マインドフルって?)」が生まれ、ますます自分自身を辛くさせるのです。「マインドフルネス講座」の大半は、「マインドフルになれない人たちを生む」ビジネスの仕掛けだと理解しておきましょう。リカレント教育も同類です。